DMG森精機が8月6日に発表した2019年12月期第2四半期(1~6月)連結業績によると、売上収益は238,646百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は20,022百万円(同27.0%増)、税引前四半期利益は17,030百万円(同25.2%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は10,673百万円(同20.1%増)となった。
また、第2四半期累計の受注額は2,234億円(前年同期比22%減)となった。この間の日本工作機械工業会の受注は29%減となり、業界平均より同社の減少幅は軽微に留まった。5軸加工機、複合加工機など工程集約機、テクノロジーサイクル、DMQP、自動化システムなど顧客への価値提案の向上により、1台当りの受注単価は前年度平均に比べ5%上昇した。
また、補修部品及び機械復旧サービスの強化に取り組んでおり、当該事業の受注は前年同期比11%増と貢献した。機械受注は、全地域とも調整局面に入っており、受注全体の15%を占める日本が前年同期比41%減、19%を占める米州が37%減、16%を占める中国を含むアジアが29%減、50%を占めるロシア、トルコを含むEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)が20%減となった。
産業別には、引続き航空機部品、医療関連向けは堅調に推移する一方、自動車関連、一般機械、SMEs(Small Medium Enterprises)、建設機械向けが調整局面を迎えている。半導体装置関連向けは昨年の半ば以降低迷を続けている。
9月には世界最大の工作機械見本市であるEMOがドイツで開催される予定であり、その機会も最大限に活かし、受注拡大に努めていく。
■2019年12月期の見通しは2月予想を据え置き
連結業績予想については、売上高5,000億円(前期比0.2%減)、営業利益360億円(同0.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益190億円(同2.6%増)と、2019年2月12日公表値を据え置いている。
■第2四半期の経営成績に関する説明
DMG森精機では、事業戦略として、5軸加工機・複合加工機の活用と自動化システムの導入による顧客の製造工程の集約を促進し、効率的な管理を可能にするデジタルサービスを強化している。自動化システムを拡充させており、オペレータとの接触を防ぐレーザセンサを搭載し、非接触給電で24時間連続稼働が可能な自律型走行ロボットAGVを新たに開発した。
また、カメラ画像をもとに切屑の場所と堆積量をAIが推論し、クーラントの吐出角度を自動調整する技術も開発した。このAIを活用した自動洗浄ソリューションで、従来頻繁に機内清掃を行っていたオペレータの負担が軽減され、長時間の無人運転が可能になる。さらに、5月からは、DMG森精機グループ会社のテクニウムのウェブサイトを通じ、操作マニュアル、メンテナンスマニュアル、パーツリストをデータとして提供開始した。デジタルマニュアルはパソコン上やタブレット上で一元管理でき紙の劣化や紛失のリスクがなくなる。そして、検索機能を活用して必要な情報に素早くアクセスできることや、顧客の保全担当者と現場オペレータなどの複数の場所で同じマニュアルを見られることによって、業務の効率化を実現する。
技術面では、ターニングセンタNLX 6000|1000、立形マシニングセンタDMP 70、アディティブマニュファクチャリング機LASERTEC 12 SLMを開発し、伊賀イノベーションデーで日本初出展した。大型部品を安定して加工できるNLX 6000|1000は、ベルトレス駆動のモータ一体型大径主軸やその主軸と完璧に同期する回転工具主軸が特徴であり、建機・エネルギープラント業界の顧客に満足される新製品。DMP 70では全軸に搭載したスケールフィードバックと高い剛性、冷却機能によって、5㎛という高い位置決め精度を実現した。また、LASERTEC 12 SLMには、全機械設定とプロセスパラメータが調整可能なオープンシステムを採用しており、材料粉末の合金の構成要素と粒度分布を入力するだけで最適パラメータが自動算出されるINTECH社のソフトウェアOPTOMETを搭載することが可能。そのほか、アディティブマニュファクチャリングの発展とともに注目を集めているトポロジー最適化技術を活用し、切削能力は据え置きながらも大幅な剛性向上と軽量化を達成した工作機械を製作した。DMG森精機は引き続き、最新技術を積極的に取り入れて顧客の生産性向上に貢献する。
販売面については、4月に開催された中国国際工作機械展覧会(CIMT 2019)に出展したほか、米国シカゴにて自社展示会イノベーションデーを、伊国ベルガモ工場および独国ビーレフェルト工場にてオープンハウスを開催した。7月の伊賀イノベーションデーでは、大型5軸制御マシニングセンタDMU 340 Gantryや日本初出展となる5軸仕様のDMP 70、NLX 6000|1000、LASERTEC 12 SLMを含む36台を展示し、デモ加工を実施した。DMG森精機の創立70周年を記念して発足した「5軸加工研究会」のブースを設け、DMU 50 3rd Generationの貸出先である全国70社の顧客による、5軸機の活用事例を展示した。また、期間中は、DMG森精機の生産設備に導入した最新技術の様子もご紹介した。精密加工工場では、6月から本格的に稼働開始したグラインディング(研削)仕様の5軸加工機DMC 125 FD duoBLOCKにより、従来は専用の研削盤と横形マシニングセンタを用いて加工していた工程を1台で対応できるようになったため、全体のリードタイムが約40%改善された上、加工精度も向上した。そのほか、機械の稼働監視や生産管理を実現するデジタルシステムを駆使して刷新されたボールねじ工場、組立工場や、最新の倉庫管理システムを取り入れたグローバルパーツセンタの様子も、自社を実証の場として推進してきたデジタル化の一例として来場の顧客に紹介した。
DMG森精機は、勤務時間の上限を12時間とし、退社から次の勤務開始まで12時間以上あけるインターバル制度を導入したほか、初任給の大幅な引き上げ(大卒の初任給が前年の218,400円から250,000円)を行った。これらの取り組みは業務効率と生産性の向上の点で効果が出てきており、引き続き「よく遊び、よく学び、よく働く」をモットーに、あらゆる領域で優秀な人材を確保し、より安心して長く働き続けられる体制を整えている。
また、海洋冒険家の白石康次郎氏を迎え入れて発足したDMG MORI SAILING TEAMは、単独・無寄港・無補給の世界一周ヨットレースVendée Globe 2020への参戦を目指している。現在建設中の新艇「DMG MORI Global One」号には、DMG森精機の最新鋭の同時5軸加工機並びに複合加工機を使用して加工された部品が搭載されている。DMG森精機は、顧客に最先端の工作機械とソリューションを届けるとともに、「DMG MORI SAILING TEAM」の活動を通して、グローバルな製造業の発展に貢献していく。
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