ヤマシンフィルタ、2020年3月期第2四半期売上は21.5%減

 ヤマシンフィルタが8月6日に発表した2020年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、売上高は27億40百万円(前年同期比21.5%減)となり、営業利益は1億17百万円(同77.5%減)、経常利益は99百万円(同81.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は61百万円(同85.5%減)となった。

 ヤマシンフィルタ2020年3月期第1四半期データ

■経営成績に関する説明

 4~6月期における同社主力市場の油圧ショベルを中心とした建設機械市場は、日本では、住宅投資は減少したものの、公共投資や設備投資は増加し、需要は前年並みとなった。北米では、住宅投資は横ばいで推移したものの、インフラ工事関連を中心に、需要は増加し、欧州では、EU離脱問題の先行きに不透明さが残る中、需要は堅調に推移した。

 中国は、インフラ投資の拡大に伴い建設機械の需要は堅調に推移したが、米中貿易摩擦の長期化による景気減速が伝えられる中、中国政府主導による公共事業への投資の増加に伴い同市場での建機需要は下支えされており、中国ローカルメーカーの市場占有率は顕著に拡大し、その結果、ヤマシンフィルタの主要取引先各社の市場占有率は減少傾向にある。一方、東南アジアでは、インドネシア、タイ、フィリピンでの国政選挙の影響により一時的に公共投資が抑制されたことにより需要は全体で減少した。

 また4~6月期は、経済の先行き不透明さが強く残る中、一部地域を除き堅調な需要を背景に、同社の強みである油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品を主軸に、新素材やIoT技術を活かしたフィルタ製品のラインナップの充実を図り、建設機械メーカーの需要拡大に努めるとともに、中国・アジア市場では、補給部品の純正率向上に建設機械メーカーと共同で取り組み、純正部品の採用率向上に努めた。しかし、4~6月期は、主要得意先各社の固有の要因に基づく在庫調整等の影響により一時的に受注が減少し、ヤマシンフィルタの売上高は低調に推移した。

■第2四半期以降の経営環境と取り組み

 第2四半期以降は、建機を取り巻く主要市場環境は堅調に推移していることに加え、既存の主要得意先各社の固有の要因に基づく在庫調整局面は終了したことを踏まえ、受注は順調な回復を見せている。

 今後、同社は、日本、北米、欧州のみならず、世界の建機の新車販売の約半数を占め、環境規制による新車需要が見込まれる世界最大の市場である中国において、製品のシェア拡大を目指し、ローカルメーカーへの拡販を進めるとともに、ヤマシンフィルタが確立した量産化技術を活かし「合成高分子系ナノファイバー」、「YAMASHINNano FilterTM」を様々な分野へ展開することで新規事業ポートフォリオの立ち上げを実現していく。

 また、収益性の改善を目的とし、前期より継続的に取り組んでいる、利益創出体制の確立を企図した全社的プロジェクト「Project PAC 19」を遂行し、原価及び販売管理費の管理を徹底し、企業価値の向上を図っていく。

■2020年3月期見通しは据え置く

 2020年3月期の連結業績予想については、米中貿易摩擦の影響などを踏まえ、世界経済全体や為替動向に先行き不透明さが残る中、得意先各社の第1四半期固有の要因に基づく在庫調整等の影響により、同社の第1四半期の業績は低調に推移した。しかし、第2四半期以降、主要な建機市場の環境は堅調に推移していることに加え、主要得意先各社の在庫調整局面は終了し、正常な発注循環に戻ることが想定され、業績の回復も見込まれることから、2019年5月15日公表の通期業績予想、売上高130億円(前期比5.9%減)、営業利益16億50百万円(16.0%減)、経常利益16億円(16.5%減)、親会社株主に帰属する当期利益11億円(22.2%減)を据え置いている。

 ヤマシンフィルタの2020年3月期第2四半期決算短信

 第2四半期決算説明資料