川崎重工業は8月5日、京都市新山科浄水場の導水トンネル築造工事に投入されるシールド掘進機1基を、戸田・岩田地崎・昭建・益田・朝日特定建設工事共同企業体より受注したと発表した。現地搬入開始は2020年度を予定している。
今回受注した掘進機は、直径4.0mの岩盤泥水式シールド掘進機で、京都市上下水道局が進める琵琶湖疎水から京都市新山科浄水場までの現導水トンネル(1969年建設)の更新・耐震化工事に投入される。トンネル掘削工事は2024年の完了を予定している。
工事は、高水圧(1.6MPa)、急曲進(最少カーブ半径 15m)、複合土質(岩盤区間と土砂区間および複合した土質)、長距離掘削(5,234m)に対応する技術的難易度の高い工事だが、掘進機が以下の性能を発揮することにより、1基での掘削が可能となる。
- 高水圧対策:シール部の耐圧性と推進ジャッキの推力を強化したほか、掘進機本体の強度も高くしている。
- 急曲進対策:掘進機の中央部で大きく屈曲できる機構を設けている。
- 複合土質における長距離掘削対策:川崎重工がこれまでに蓄積した軟弱土層の掘進に用いられるシールド掘進機の技術と、岩盤や礫層などの掘削に用いられるTBM(Tunnel Boring Machine)の技術を融合した、複合土質対応型の掘進機を設計。
岩盤掘削と土砂山掘削それぞれに適応したカッターへの換装が可能なほか、長距離掘削に耐えるための摩耗対策も強化している。
川崎重工は、日本国内外で約1,500基のシールド掘進機およびTBMの受注実績を有しており、難易度の高い条件下でのトンネル掘削に豊富な実績がある。中でも、2MPaの高水圧施工管理が要求された掘削工事における完工実績と、その経験で培った高い技術力が評価され、今回の受注に繋がった。
川崎重工は国内外を問わず、付加価値の高いシールド掘進機・TBMの営業活動を積極的に推進していく。
<工事概要>
施主:京都市上下水道局
施工者:戸田・岩田地崎・昭建・益田・朝日特定建設工事共同企業体
機種:掘削機径4.0m高水圧対応岩盤泥水式シールド掘進機(中折れ型)1基
施工条件:
(1) 土質:砂岩、砂岩優勢互層、頁岩、頁岩優勢互層、チャート、チャート優勢互層、粘土、砂礫、砂
(2) 土被り:最大 172.6m
(3) 施工管理土水圧:最大 1.6MPa
(4) 工事延長:5,234m
(5) 施工最小曲率半径:R=15m