㈱タダノが7月31日に発表した2020年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、売上高は403億7千6百万円(前年同期比115.7%)となった。うち日本向け売上高は、建設用クレーン・車両搭載型クレーンが増加、高所作業車が減少し、212 億2千9百万円(前年同期比113.4%)。海外向け売上高は、中東向けを除き、すべての地域で売上が増加し、191 億4千7百万円(前年同期比118.4%)となり、海外売上高比率は47.4%となった。
利益面は、売上は増加したが、コストアップや製品構成の変化により売上原価率は悪化、また成長に向けた前向き投資もあり販売費及び一般管理費は増加した結果、営業利益は14 億4千万円(前年同期比63.3%)、経常利益は13 億5千6百万円(前年同期比61.4%)となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は6億3千9百万円(前年同期比35.5%)となった。
■経営成績に関する説明
4~6月期における国内経済は、輸出弱含みの中、個人消費は持ち直し、設備投資は緩やかに増加、景気は緩やかに回復した。米国経済は回復持続、欧州経済は緩やかに回復、新興国では中国経済に減速が見られた。一方で、米中貿易戦争、英国EU 離脱問題、点在する地政学的リスク等もあり、極めて不透明な状況が続いている。タダノの関連業界は、日本では、東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要や復旧復興・防災減災・インフラ老朽化対策・民間建設投資等により稼働が堅調に推移し、需要は増加した。海外では、中東を除き、需要は回復基調が続いた。
今年2月、米国Terex 社と、同社が所有するDemag ブランドのクレーン事業(本拠地ドイツ)の株式取得等に関する契約を締結した。同事業の買収により、新たにクローラクレーンをタダノグループの製品ラインナップに加えるとともに、オールテレーンクレーン事業の更なる拡充を図ることで、幅広い顧客ニーズに対応することが可能になる。買収完了は今年7月31 日(米国時間)を予定している。
また、昨年1月19 日に公表した米国排ガス規制の緩和措置に関する自己申告については、今後、米国当局(環境保護庁・司法省)との協議が進められていく予定。協議の終了時期は見通せていないが、今後、開示が必要な事由が判明したら適時適切に対応する。なお、現在は、最も厳しい規制に適合するエンジンを搭載した建設用クレーンのみを販売しており、北米での販売に影響は出ていないとしている。
■セグメント別の状況
(セグメント別とは、当社及び連結対象子会社の所在地別の売上高・営業利益であり、仕向地別売上高とは異なる。)
1)日本:日本向けは、高所作業車が減少したものの、建設用クレーン・車両搭載型クレーンが増加し、売上は増加した。また、海外向けも増加し、その結果、売上高は368 億6千1百万円(前年同期比121.9%)、営業利益は45 億1千5百万円(前年同期比143.8%)となった。
2)欧州:建設用クレーン売上は欧州域内・欧州域外が共に増加し、売上高は103 億9千2百万円(前年同期比130.2%)、新モデル移行や品質対応に伴うコスト増により、営業損失は5億3千万円(前年同期は2億1千8百万円の営業損失)となった。
3)米州:北米で建設用クレーン需要が増加する中、伸縮ブーム式クローラクレーンの需要が減少し、売上高は58 億3千8百万円(前年同期比100.5%)、営業損失は1千1百万円(前年同期は9千6百万円の営業損失)となった。
4)その他:建設用クレーン需要が増加し、売上高は47 億9千4百万円(前年同期比140.0%)、営業利益は2 億1 千1 百万円(前年同期比158.5%)となった。
■主要品目別の状況
1)建設用クレーン:日本向け売上は、需要が増加する中、大型機種の拡販に取り組み、77 億2千8百万円(前年同期比122.8%)となった。
海外向け売上は、中東向けを除き、すべての地域で売上が増加し、156 億6千7百万円(前年同期比124.1%)となった。
この結果、建設用クレーンの売上高は233 億9千6百万円(前年同期比123.6%)となった。
2)車両搭載型クレーン:日本向け売上は、安全装置法制化と小型トラックの排ガス規制による駆け込み需要により、51億5千4百万円(前年同期比132.7%)となった。
海外向け売上は、東南アジア・中東向けの拡販に注力したものの、4億2千9百万円(前年同期比94.0%)となった。
この結果、車両搭載型クレーンの売上高は55 億8千4百万円(前年同期比128.7%)となった。
3)高所作業車:インフラ点検補修用途及び通信業界向け機種も売上が減少し、高所作業車の売上高は、40 億2百万円(前年同期比92.3%)となった。
4)その他:部品、修理、中古車等のその他の売上高は、73 億9千3百万円(前年同期比101.4%)となった。
■2020年3月期の見通し
2020年3月期連結業績予想は、売上高2,000億円(前期比6.1%増)、営業利益175億円(同10.5%増)、経常利益175億円(同12.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益120億円(同4.7%増)と2019 年4月26 日公表値を据え置いている。
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