コマツ、2020年3月期第1四半期売上は5.6%減の6,097億円

 コマツが7月29日に発表した、中期経営計画の初年度となる2020 年3 月期の第1 四半期(4~6月)連結業績によると、売上高は6,097 億円(前年同期比5.6%減)となった。建設機械・車両部門では、北米やオセアニアにおいて鉱山機械の需要が引き続き堅調だったものの、中国、アジアを中心に需要が減少したことなどから、売上げは前年同期を下回った。産業機械他部門では、自動車業界向けの鍛圧機械及び工作機械の販売が減少したことに加え、半導体市場でのエキシマレーザー関連製品の販売減少もあり、売上げは前年同期を下回った。

 利益については、建設機械・車両部門の販売量減少や地域構成差による影響などにより、営業利益は747 億円(前年同期比22.2%減)となった。売上高営業利益率は前年同期を2.6 ポイント下回る12.3%、税引前四半期純利益は669 億円(同28.0%減)、株主に帰属する四半期純利益は474億円(同24.6%減)となった。

 コマツ2020年3月期第1四半期データ

【建設機械・車両】

 建設機械・車両部門の売上高は5,614 億円(前年同期比5.5%減)、セグメント利益は686 億円(同22.2%減)となった。

 中期経営計画の成長戦略3 本柱の1つであるイノベーションによる価値創造において、建設・鉱山機械及びユーティリティの電動化を重点項目の1つに掲げており、今年4 月にドイツのミュンヘンで開催された国際的な建設機械見本市「bauma2019」では、次世代を見据えたバッテリー駆動式ミニショベルを初出展。今後、早期の市場導入を目指していく。

 また、2015 年2 月にスタートした建設現場向けソリューション事業「スマートコンストラクション」を着実に推進し、これまでに国内で8,200 を超える現場に導入した。海外では、米国やドイツなどでパイロット導入し、本格導入に向けた活動を推進している。安全で生産性の高いスマートでクリーンな「未来の現場」の早期実現のため、ICT 建機の更なる施工精度の向上を目指し、高精度なGNSS位置補正情報取得に向けて取り組んだ。今後は、既存の従来型建機にICT 機能を提供する後付けキット「スマートコンストラクション・レトロフィットキット(仮称)」の提供を進めることで、建設現場のデジタルトランスフォーメーションを加速させていく。

■地域別の概況

<日本> 日本では、2017 年9 月に施行された新排出ガス規制に伴う駆け込み需要の反動減からの回復があったものの、中古車販売の減少などにより売上げは前年同期並みとなった。

<米州> 北米では、一般建機・鉱山機械ともに需要が引き続き堅調であり、売上げは前年同期を上回った。

 中南米では、ブラジルにおける一般建機の需要が堅調に推移したものの、アルゼンチンの経済情勢が引き続き悪化していることに加え、鉱山機械の需要が低調であることなどにより、売上げは前年同期を下回った。

<欧州・CIS> 欧州では、主要市場であるドイツ、英国、フランスに加え、東欧などでの需要が堅調であり、売上げは前年同期を上回った。

 CIS では、鉱山機械の需要が引き続き堅調であることに加え、部品・サービスの売上げが伸長したことにより売上げは前年同期を上回った。

<中国> 中国では、米中貿易摩擦が長期化し、国内経済の不透明感が強まる中、一般建機の需要が減少したことにより売上げは前年同期を下回った。

<アジア・オセアニア> アジアでは、燃料炭価格の下落に伴い、最大市場であるインドネシアでの鉱山機械の需要が減少したことに加え、各国における選挙の影響もあり、売上げは前年同期を下回った。

 オセアニアでは、鉱山機械の需要が引き続き堅調であり、売上げは前年同期を上回った。

<中近東・アフリカ> 中近東では、イエメンの内戦に伴う各国政府の緊縮財政の影響が続いているものの、UAE 向けの石油ガス開発、住宅地開発の大型案件受注などにより、売上げは前年同期を上回った。

 アフリカでは、鉱山機械の需要が低調に推移したことなどにより、売上げは前年同期を下回った。

【リテールファイナンス】

 リテールファイナンス部門では、北米などにおいて増収となったことから、売上高は172 億円(前年同期比21.2%増)となった。セグメント利益は、前年度に実現した中国の債権回収に伴う引当金の戻し益がなくなったこともあり、34 億円(同38.0%減)となった。

【産業機械他】

 産業機械他部門では、自動車業界向けの鍛圧機械及び工作機械の販売が減少したことに加え、半導体市場でのエキシマレーザー関連製品の販売減少もあり、売上高は340 億円(前年同期比17.5%減)、セグメント利益は5 億円(同81.8%減)となった。

 中期経営計画の重点項目の1 つである「つながる工場」活動の一環として、コマツNTCの工作機械がベースとなった「スマートライン」が、小山工場のエンジン基幹部品の加工工程において、今年より本格稼働を開始した。同ラインは、組立完全同期生産による4 時間無人運転を目指し、IoT 技術活用によるライン内の冶工具交換及び計測作業の自動化や、加工・品質・保全情報のリアルタイムでの一元管理などにより、大幅な生産性向上と省エネを実現した。

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 なお、2020年3月期連結業績予想は、売上高2兆6,170億円(前期比4.0%減)、営業利益3,370億円(同15.3%減)、税引前当期純利益3,170億円(同16.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,150億円(同16.2%減)と、4 月26 日に公表値を据え置いている。

 コマツの2020年3月期第1四半期決算短信

 第1四半期決算説明資料