日立造船、固体高分子型水電解大型スタック評価設備を受注

・山梨県が目指すCO2フリーの水素社会構築に寄与

 日立造船は7月10日、山梨県企業局より固体高分子型水電解大型スタック評価設備を受注したと発表した。同装置は、日立造船の大型水素発生装置「HYDROSPRING(R)」をベースにし、太陽光発電由来の電力1.5MWを水素400Nm3/hに処理・供給する能力を有する。日立造船において100Nm3/hを超える水素を発生・処理する大型装置の受注は本件が初めてとなる。

■装置の用途

 水素発生装置は水を電気分解し、再生可能エネルギーなどで得られた電力を水素に変換することで、エネルギー貯蔵を可能にするもの。今回の受注では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、山梨県企業局(山梨県甲府市、佐野 宏 山梨県公営企業管理者)が東レ、東京電力ホールディングス、㈱東光高岳(東京都江東区)とともに甲府市下向山町の米倉山で2016年度から2020年度末まで取り組む「CO2フリーの水素社会構築を目指したP2G(※)システム技術開発」の実証研究に用いられる。

 実証研究は、季節や時間によって変動する太陽光発電に水素発生装置を隣接して設置し、その不安定な電力を水素エネルギーに転換して貯蔵・利用することで、再生可能エネルギーの導入拡大に加えCO2フリーの水素エネルギー社会構築に大きく貢献するもの。

 日立造船は当該研究開発事業の推進に水素発生量5Nm3/hの評価設備を提供しており、これに続く1.5MWの電力を用いた大規模水素製造の実証研究を行うにあたり、同装置を納入するもの。

■今後の展望

 日立造船は、2000年に水素発生装置「HYDROSPRING(R)」の販売を開始し、2018年6月にメガワット級発電施設に対応可能な大型装置を開発した。また、産業界から排出される二酸化炭素と、再生可能エネルギー由来の水素を反応させてメタンを生成するメタネーションプロセスの開発にも取り組み、化石燃料の使用量削減に実効的なカーボンニュートラルを目指している。

 今後も日立造船は、温室効果ガスを発生させない再生可能エネルギーの普及を積極的に推進し、政府が目指す2030年の再生可能エネルギー導入目標や、SDGs(持続可能な開発目標)達成に寄与していく。

 ※P2G(PtG):「Power to Gas」の略。再生可能エネルギーの余剰電力から水素やメタンを製造し、貯蔵・利用する仕組み

<受注概要>

発注者:山梨県企業局

受注製品:水素発生装置「HYDROSPRING(R)」

水素処理能力:400Nm3/h

数量:1基

水電解槽:

 500kWの固体高分子型電解槽×1槽(納期:2020年3月) 

 500kWの固体高分子型電解槽×2槽(次年度以降順次拡大予定)

(参考)

 日立造船ニュースリリース

 2018年6月13日「国内最大 メガワット級 大型固体高分子型水素発生装置を開発」

  https://www.hitachizosen.co.jp/news/2018/06/003058.html

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