プライメタルズテクノロジーズ、連続鋳造機向けプロセス最適化システムの受注件数が10 年間で150 件に到達

・先進オートメーションパッケージとサイバーフィジカルモデルに対する需要拡大

・冶金学とデジタル化のノウハウを最適化システムから得ることで時間とコストを節減

・米国と中国における旺盛な需要がビジネス拡大に貢献

・他社製プラントへの適用件数も増加

・鉄鋼メーカーの「デジタルツイン」に対する関心の高まり

 プライメタルズテクノロジーズ(以下、PT社)は7月2日、中国の大手鉄鋼メーカーより、連続鋳造機1 基のプロセス最適化システムを受注したと発表した。これにより、PT社の連続鋳造機向けプロセスオートメーションシステム(レベル2)の受注件数はこの10 年間で150 件に到達し、金属・鉄鋼産業におけるオートメーションシステムの大手サプライヤーとして記念すべき節目となった。

 近年、先進オートメーションパッケージとサイバーフィジカルモデルに対する需要は特に大きくなっている。冶金学とデジタル化のノウハウを最適化システムから得ることにより、連続鋳造機のユーザーは時間とコストを節減できる。米国と中国における旺盛な需要がビジネスの拡大をけん引しており、PT社製の連続鋳造機用オートメーションシステムやデジタル化のソリューションは、他社製プラントにも適用されるようになった。また鉄鋼メーカーは、「デジタルツイン」にも大きな関心を寄せている。

■先進オートメーションパッケージとサイバーフィジカルモデル

 鉄鋼メーカーは、生産性が高く、中断なく常に高品質で生産できる連続鋳造機を用いて、多岐にわたる鋼種、スラブ厚、スラブ幅の製品を鋳造したいと考えている。最近では、高度にデジタル化された先進オートメーションパッケージやサイバーフィジカルモデル(「デジタルツイン」)が、「最先端の技術」として、生産プロセスの継続的最適化の基盤を形成するようになった。オーストリアのリンツにある電機システム部門の部長であるピーター・ユッツァ(Peter Juza)は次のように説明している。

 「このような需要の高まりに合わせ、弊社はこの数年、積極的にソリューション開発を進めてきました。その結果、連続鋳造機のオートメーション化、デジタル化、および最適化のための最も広範囲なポートフォリオをお客様にご提供できるようになりました。当部門の受注件数は、昨年度だけで2 倍以上に増大しています。」

■冶金学とデジタル化のノウハウ

 ユッツァ部長は次のように続ける。「プライメタルズテクノロジーズは、鉄鋼生産プロセスのデジタル化における長年の経験と冶金学の深い専門知識を兼ね備えており、これはお客様にとって大きなメリットです。」

 その一例は、ダイナフェイズ(DynaPhase)、ダイナックス3D(Dynacs 3D)、ダイナギャップソフトリダクション3D(DynaGap Soft Reduction 3D)の各ソリューションを含む「モデルスイート(Model Suite)」です。当モデリングパッケージは、動的な二次冷却と軽圧下のための最先端技術をベースとしています。この技術は、凝固収縮や相転移などの熱力学的効果を考慮し、凝固段階における鋼片の品質を直接的に大きく向上させます。またプラントユーザーは、連続鋳造機と連続鋳造プロセスのデジタルツインを用いて、シミュレーションモードやリプレイモードで、生産プロセスや新たな鋼種の生産を最適化できます。この「プロセスインテリジェントコックピット(Process IntelligentCockpit)」と呼ばれるプロセスは、連続鋳造機のユーザーのトレーニングにも利用できます。」

■ビジネスドライバー

 米国と中国における需要、および他社製プラントへのインストール連続鋳造機のプロセス最適化で多数の受注を獲得できた理由の1 つは、その長期にわたる大規模な顧客ベースにある。多くの鉄鋼メーカーは、継続的に強化されているPT社のソフトウェアソリューションのメリットを得るため、定期的にシステムを更新している。米国と中国における投資が活発であることも、同ビジネスが好調である要因のひとつ。さらに、昨年度は他社製プラントへの適用件数も世界中で大幅に増加した。

■プロセス最適化システムの利用ライセンス

 「我々が提供する連続鋳造プロセス最適化システムの『サブスクリプション』ライセンス(ソフトの期間利用契約)に対し、世界の鉄鋼産業は大きな関心を寄せています」とユッツァ部長は述べている。

 「このモデルでは、新規リリース、アップグレード、およびアップデートが、お客様との相談の上でインストールされます。これにより、アプリケーションが常に最新の状態に保たれるため、ユーザーは技術開発や改善、発明の成果を継続して享受できるようになります。また、モジュール方式のシステムであるため、必要に応じて、個々の機能やモデルごとに利用契約と解除が可能です。契約後に利用可能になった新機能も、要望に応じて導入できます。サービスパッケージとして、トラブルシューティング、コンサルティング、トレーニング、微調整、および最適化に関する遠隔サポートも提供しています。2018 年12 月、米国の鉄鋼メーカーが、世界で初めてPT社とこのサブスクリプションライセンス契約を結びました。お客様からの照会が増えており、我々はこれこそ将来にふさわしいモデルだと確信しています。」

 プラントの連続鋳造機プロセスを最適化するプライメタルズテクノロジーズのデジタルツイン技術は、長年にわたる経験と何百件もの完工プロジェクトに立脚している。

 ニュースリリース