三菱重工エンジン&ターボチャージャ、再生可能エネルギーとの“トリプルハイブリッド”自立給電システムを開発

MHIETがエンジン発電と蓄電池を組み合わせ最適な安定制御を実現

 三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャMHIET、本社:相模原市中央区)は624日、太陽光などによる再生可能エネルギー発電とレシプロエンジン発電および蓄電池を組み合わせ最適な安定制御ができるトリプルハイブリッド自立給電システムを開発したと発表した。再生可能エネルギーの不安定な電力を3種の電源ミックスにより安定化できるのが強みで、高効率低コストの電力供給を環境に優しく多用途な分散型電源で追求できるもの。本社を構える相模原工場内で、太陽光発電設備と蓄電池、エンジン発電設備を組み合わせた実証設備「トリプルハイブリッド発電所」を稼働。発電設備を「EBLOX(イブロックス)」、制御システムを「COORDY(コーディー)」と名づけ、多様な電力供給ニーズに応えるソリューション提案を行う体制を整えた。

 トリプルハイブリッド自立給電システムは、天候などに左右されやすい自然エネルギー(変動性再生可能エネルギー)由来電力の割合が大きくなると電力供給量が不安定となる現象への対応手段として、MHIETの技術基盤を有効活用して開発したもの。変動性再生可能エネルギーによる電力の変動を蓄電池で吸収し平準化させるとともに、天候変化や昼夜の時間帯変化に発電量が左右されないディーゼルエンジンやガスエンジンによる発電がバックアップする仕組み。

 また、この給電システムのエネルギー制御システムは、多様な電源の組み合わせに対応して構成機器の運用を最適化するため、運用コストの低減につながります。併せて、蓄電池のインバータには、電源ミックスによる並列運転時に発生する負荷のアンバランスや突発的な変動への安定化能力を与えている。さらに、蓄電池の素早い充放電機能を活用することで、商用系統との連系においてもエンジンと蓄電池のダブルハイブリッドシステムとして、給電時間の短縮や今後の電力需給調整で要求される調整力の高速応答を実現することも可能となる。

 トリプルハイブリッド発電所は、300kW級の太陽光発電設備、500kW×0.5時間の蓄電池設備、500kWのガスエンジン発電設備、付属機器および制御システムで構成され、全発電量を工場内で利用します。多様な自立運転試験を行えるように、系統電力線から独立させることが可能で可変負荷抵抗器も備えている。

 製品名EBLOXは、複数のエネルギー(E)をブロックのように組み合わせることに因んでおり、特に“BLOX”には、社会基盤をつくっていくとの意味を込めました。また、制御システムのCOORDYは、エネルギーのコーディネーターを表している。

 世界中には、電力会社の送配電網が行き届かないため簡便な自立型電源を求める地域が多数ある一方、地震や風水害などの災害対策としても自立可能な分散型電源への期待が高まっている。MHIETは、こうした強いニーズに応え変動する再生可能エネルギーを安定化させ組み込んだハイブリッド発電システム(EBLOXCOORDY)を新たに提案することで、再生可能エネルギーの付加価値を高めて可能性を広げ、低炭素社会づくりに貢献していく。

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