国際協力機構(JICA)、イラク向け円借款貸付契約、バスラ製油所の改良で石油製品の増産に貢献

・石油製品を輸入する産油国からの脱却へ

 国際協力機構(JICA)は6月17日、16日にバグダッドにおいて、イラク共和国政府との間で、「バスラ製油所改良事業(第二期)」を対象として1,100億円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印したと発表した。

 同事業は、イラク南部バスラ県に位置する同国最大級のバスラ製油所において、流動接触分解装置(FCC: Fluid Catalytic Cracking)を含むFCCコンプレックスを新設することにより、石油製品の品質や生産性の向上を図るもの。イラクは長年続いた戦争の影響などを受け、多くの製油施設が稼働停止状態になるなど、国内で産出される石油の精製が追いつかず、原油確認埋蔵量世界5位の産油国であるにも関わらず、ガソリン等の石油製品を輸入により賄っている。

 同事業では、同国初となるFCCコンプレックスの導入により、イラク経済の最重要セクターである石油セクターにおいて環境規制に合致した高品質の石油製品の精製を可能にし、イラクの経済・社会復興に寄与することを目的としている。

 同事業に対しては、第一期(2012年10月L/A調印、貸付限度額424億3500万円)の円借款を供与済みであり、今次円借款は第二期分として供与するもの。

 なお、同事業に対する円借款には本邦技術活用条件(STEP)(注)が適用され、事業で整備されるFCCコンプレックスには我が国の優れたエンジニアリング・サービスのノウハウが活用される予定。

(注)Special Terms for Economic Partnershipの略。わが国の優れた技術やノウハウを活用した途上国への技術移転を通じて、わが国の「顔の見える援助」を促進するために創設された円借款の供与条件。主契約は日本タイド、下請けは一般アンタイド。なお、主契約者については、本邦企業と海外に存する本邦企業の子会社に加えて、借入国との共同企業体(JV)を認めるが、本邦企業が当該JVのリーディング・パートナーとなることが必要。

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