三菱重工、プラント巡回防爆ロボット「EX ROVR」の走行試験を実施

・JXTGエネルギーと共同で、水島製油所にて

◆ 商用化に向けた技術実証で、プロトタイプ機を使い基礎的な機能要件をクリア

◆ さらなる巡回機能拡充・安全性強化へ課題の洗い出しを推進

 三菱重工業は6月10日、JXTGエネルギーと共同で、引火性ガスの中でも自らが出す電気火花や熱などで爆発や火災を引き起こす危険性を抑えた防爆性能を有するプラント巡回ロボット「EX ROVR(エクスローバー)」のプロトタイプ機による走行試験を、JXTGエネルギー水島製油所(岡山県倉敷市)で実施したと発表した。

 試験では、階段昇降を含む狭隘なプラント内の複数フロア自律巡回走行、各種搭載センサーによるデータ取得や、ドッキングステーションでの充電を含む連続自動運転を実施し、開発中の同ロボットが、JXTGエネルギーのプラントにおける日常巡回点検や非常時対応を行うための基礎的な機能要件を満たすことを確認した。両社は、今回の試験結果について評価を掘り下げ、課題のさらなる洗い出しを行い、改良を進めていく。

 三菱重工が原子力発電プラント事故収束支援活動などで成果を挙げたロボットの技術などをベースに開発中のプラント巡回防爆ロボットは、日本における国内防爆指針および欧州をはじめ世界で広く採用されている防爆認証のATEX/IECEx(注)に適合した防爆設計で、可燃性ガスのある危険場所(Zone1)で安全に使用することができる。プラントの点検密度向上や安全性強化に向け、多様なプラント環境での試験・実証を行いながら商用化を目指す。三菱重工は、防爆ロボット技術を活用した新たなソリューション提案を通じ、プラントの安全性・生産性向上に貢献できるよう開発を進めていく。

(注)IECExは、爆発性雰囲気下で使用する機器の認証に関する国際システムで、その品質評価規定はIEC(国際電気標準会議)が作成した規格に基づいている。ATEX指令は、IECExをベースに、爆発性雰囲気下で使用する機器および保護システムをEU(欧州連合)市場に投入するまでに適用しなければならない安全衛生上の必須要件および適合性評価手順について定めたもの。どちらも同じ規格に沿っているため、技術的内容について基本的な違いはない。

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