国際協力銀行(JBIC),チリ共和国ケブラダ・ブランカ銅鉱山開発事業にプロジェクトファイナンス

・日本による長期、安定的な銅精鉱の確保を支援

 国際協力銀行(JBIC)は5月31日、30日、チリ共和国法人Compañía Minera Teck Quebrada Blanca S.A.(以下、CMTQB)との間で、ケブラダ・ブランカ銅鉱山の開発を対象とした、融資金額9億ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*1による貸付契約に調印したと発表した。

 融資は、カナダ輸出開発公社、ドイツ復興金融公庫、韓国輸出入銀行及び民間金融機関(三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、BNPパリバ銀行、アイエヌジーバンクエヌ・ヴイ、モントリオール銀行)との協調融資によるもので、協調融資総額は25億ドル。

 プロジェクトは、カナダ法人Teck Resources Limited住友金属鉱山住友商事及びチリ法人Empresa Nacional de Minería(ENAMI)が出資しているCMTQBが、チリ共和国第I州に所在するケブラダ・ブランカ銅鉱山の開発に必要な長期資金を融資するもの。

 銅は、電線、電気電子機器、自動車、建材等の幅広い用途で使用され、日本の産業にとって必須の金属資源であり、中国やインド等を中心とする新興国でのインフラ需要の拡大やハイブリッド車・電気自動車の普及拡大*2に伴って、引き続き世界的な需要増加が見込まれている。

 日本は銅地金の原料である銅精鉱の全量を、海外からの輸入に依存しているため、長期安定的な銅資源の確保は喫緊の課題。「エネルギー基本計画」(2018年7月閣議決定)においても、銅を含むベースメタルの自給率を2030年に80%以上とする目標が掲げられている。今回の案件は、日本企業が出資参画する銅鉱山の開発及び長期安定的な銅精鉱の確保を支援するものであり、こうした日本政府の政策に沿うもの。

 JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業による鉱物資源などの重要資源の開発・取得を積極的にサポートし、日本への鉱物資源の安定供給確保を金融面から支援していく。

*1 プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュフローに限定する融資スキーム。

*2 ハイブリッド車及び電気自動車は、同タイプの従来型エンジン車と比較して2倍~3倍の銅を必要とすると言われている。

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