三菱日立パワーシステムズ、チェコのデトマロヴィッチェ火力発電所向けに排煙脱硫装置の全面改修工事を受注

 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は5月23日、チェコ共和国東部に位置するチェコ電力公社(ČEZ)デトマロヴィッチェ(Dětmarovice)火力発電所から排煙脱硫装置(FGD:Flue Gas Desulfurization)の全面改修工事を受注したと発表した。1997年にMHPSが納入したFGD1基が対象で、先進の脱硫技術を導入することによりSO2(二酸化硫黄)の排出量を同国が加盟する欧州連合(EU)の新産業排出指令(IED:Industrial Emission Directive)基準に適合させることになったものです。完成・引き渡しは2020年の半ばを予定している。

 今回のプロジェクトは、MHPSが主契約者として受注したもの。MHPSの欧州現地法人とともに、石炭焚き発電設備を対象として、30万kW級の燃焼排ガスを処理できる能力を備えたFGDの設計、製作、工事、試運転までを一括で手掛けるとともに、試運転から引き渡しまで現地に技術者を派遣してサポート。欧州の厳しい硫黄酸化物(SOx)排出規制に対応する。

 MHPSは、三菱重工業および日立製作所が開発・蓄積してきた火力発電設備における環境技術を結集し、FGDをはじめ、脱硝装置、集じん装置といった総合排煙処理システム(AQCS:Air Quality Control System)を一貫して提供できる能力を有しており、一社単独で提案・提供できる世界有数のメーカーとして基盤を固めてきた。世界最高レベルの環境技術と信頼性で、SOxや窒素酸化物(NOx)、および煤じんなどの大気汚染物質を大幅に抑制し、地球環境の改善に大きく貢献している。

 とりわけFGDについては、これまで世界市場で300基を超える納入実績を有しており、2018年におけるFGD世界市場シェアではトップの61.5%(注)、2014年から5年間の累計では設備出力4,150万kWで世界最大シェア40%を獲得している。

 MHPSは今後も、排出規制強化の流れに伴い需要拡大が見込める欧州地域をはじめとする世界市場で、FGDなどAQCSの普及に一層力を注ぎ、世界各地の経済発展に不可欠な電力の安定供給に寄与するとともに、環境負荷低減に貢献していく。

(注)世界の発電事業に関する詳細な市場調査資料を提供している米国のマッコイ・パワー・レポート(McCoy Power Report)における「Technology Owner」(技術提供先を含む)の数値に基づいており、出力5,000kW以上の火力発電設備に設置されたFGDが対象となっている。

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