ヤマシンフィルタ、2019年3月期売上は4.9%増の138億円、今期は減収減益の見通し

 ヤマシンフィルタが5月15日に発表した2019年3月期(2018年度)連結業績によると、売上高は138億11百万円(前期比4.9%増)となり、営業利益は19億63百万円(2.8%増)、経常利益は19億15百万円(5.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億13百万円(13.1%増)となった。*(カッコ内は前期比)

 ヤマシンフィルタ2019年3月期データ

 主要市場である油圧ショベルを中心とした建設機械市場は、日本では、設備投資及び公共投資は持ち直しの動きを見せ、需要は前年並み。北米は、エネルギー関連やインフラ工事関連を中心に、需要は増加。欧州ではEU離脱問題の先行きに不透明さが残るなか、需要は堅調に推移し、東南アジアは、インドネシアを中心に需要は全体で増加した。一方、中国は、需要は前年度と比較し増加したが、下期以降、マンション建設やインフラ開発の鈍化といった需要の減速がみられる。

 このような環境のなか、2018年度は、強みである油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品を主軸に、新素材やIoT技術を活かしたフィルタ製品のラインナップの充実を図り、建設機械メーカーの需要拡大に努めるとともに、中国・アジア市場では、補給部品の純正率向上に建設機械メーカーと共同で取り組み、フィルタ部品の販売向上に努めた。

 更には、前期より継続的に取り組んでいる、利益創出体制の確立を企図した全社的プロジェクト「Project PAC 18」を遂行し、徹底した原価及び販売管理費の管理を行うことで、収益の改善を実現した。

■2020年3月期(2019年度)の見通し

 2020年3月期の世界経済は、米中貿易摩擦の激化や、英国のEU離脱問題等の不安定要素を背景に慎重な見方が強まりつつある。世界の建設機械市場の需要見通しは、世界最大の市場である中国では、環境規制による新車需要は見込まれるものの、貿易摩擦の激化に伴い慎重な姿勢を見せはじめた。また、他の市場も世界経済の不安定要因を背景に需要は慎重さが顕著になりつつあることから、2019年3月期の需要を若干下回ることを想定している。

 このような環境のなか、ヤマシンフィルタグループは、より付加価値の高い高精度のフィルタ製品を市場に投入し、日本、北米、欧州のみならず、中国、アジア市場における新車需要を確実に獲得するとともに、既に稼働している建設機械向けのフィルタ製品の交換需要を的確に掴み、アフターマーケット事業を推進する。更には、ヤマシンフィルタが確立した量産化技術を活かし「合成高分子系ナノファイバー」、「YAMASHIN Nano FilterTM」を様々な分野へ展開することで新規事業ポートフォリオの立ち上げを実現していく。

 また、原価低減、販売管理費の削減については、前期に引き続きプロジェクト活動「Project PAC 19」を立ち上げ、同プロジェクトにヤマシンフィルタグループ一丸となって取り組み、利益の確保に最大限努める。

 2020年3月期連結業績予想については、以上の状況を踏まえ、売上高130億円(前期比5.9%減)、営業利益16億50百万円(16.0%減)、経常利益16億円(16.5%減)、親会社株主に帰属する当期利益11億円(22.2%減)とした。

 業績見通しにおける為替レートは、1米ドル108円、1ユーロ130円を前提としている。

 ヤマシンフィルタの2019年3月期決算短信