日精樹脂工業が5月10日に発表した2019年3月期(2018年度)連結業績によると、売上高は前期比4.1%増の440億6千5百万円、営業利益は35億1千万円(同13.1%増)、経常利益は35億9千3百万円(同7.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、25億8千9百万円(同75.4%増)となった。また、2022年3月期(2021年度)売上高500億円、営業利益40億円を目標とする中期経営計画も発表した。
■2018年度の経営概況
2018年度における世界経済は、米中貿易摩擦の影響等により、経済成長は鈍化したが、米国の良好な雇用環境による企業収益の改善等を背景に回復基調で推移した。国内経済は、企業収益や雇用環境が堅調だったことから回復基調で推移した。
日精樹脂工業グループが属する射出成形機業界は、アジア地域での需要が期中後半から鈍化したが、国内および米国等での需要が堅調だったことから、安定的に推移した。
このような状況の中、日精樹脂工業グループは、真のグローバル化と真のイノベーションのシナジー効果により10年後を見据えた積極的な体制作りを進め、「真のグローバル経営の強化」「グローバル市場への積極的展開による販売増強」「グローバル生産体制の強化」「グローバルリスク管理体制の強化」を軸に企業発展に努め、世界規模で進展する市場に対し、積極的に成長市場への展開を図るとともに、生産技術力と品質保証体制を強化してきた。
2018年度の業績については、期中後半にかけてアジア市場での需要が鈍化したものの、国内を中心に堅調に推移したことから安定的に推移した。
■セグメントの状況
<日 本>
自動車関連等の需要が堅調だったこと等により、売上高(外部顧客への売上高)は227億2百万円(前期比7.8%増)、セグメント利益は20億8千1百万円(同3.0%増)となった。
<アメリカ地域>
自動車関連等を中心に需要が堅調だったこと等により。売上高は95億2千2百万円(前期比5.8%増)となったが、販売費用等が増加したことからセグメント利益は4億2千9百万円(同26.0%減)となった。
<アジア地域>
IT関連を中心に需要が鈍化したこと等から売上高は118億4千万円(前期比3.5%減)、セグメント利益は7億6百万円(同16.2%減)とそれぞれ減少した。
■製品別売上高
主力である射出成形機は336億7千2百万円(前期比4.1%増)、営業部品は、54億円(同0.9%増)、金型等は、22億3千1百万円(同37.7%増)と増加したが、周辺機器は、27億6千万円(同8.0%減)と減少した。
■2020年3月期(2019年度)の見通し
今後においては、5G通信等のデジタルインフラの整備・普及、海洋プラスチック問題に象徴される環境問題など、日精樹脂工業グループや日精樹脂工業製品の関わりが重要性を増していく中で、更なる需要の拡大に繋がることが予想される。
このような状況の中、日精樹脂工業は長期的な観点からの成長戦略や業績目標を見据え、2026年3月期を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の策定を進めると共に、2020年3月期を初年度とする3ヵ年の第三次中期経営計画を策定した。第三次中期経営計画は、3年後の姿としてグローバル経営を進化させ、グローバルな環境への対応を図り「フューチャーデザイン2026」達成への体制づくりを展開し、更なる成長発展のためのステップとして位置付け、顧客、株主、取引先、従業員等のステークホルダーと課題を共有することにより、日精樹脂工業グループの企業価値の向上を図っていく。
・具体的な経営方針は以下のとおり。
(1)真のグローバル経営の強化
世界規模で進展する市場変化の中で、環境経営を強化し、高収益企業としてグローバルな展開を図り、自力成長力を強化する。
(2)グローバル市場への積極的展開による営業強化
営業力の強化と新たなビジネスモデルの創出によって売上の増大を図ること、また、革新的な市場戦略に基づいた提案型営業によりボーダレス化・IoT化に呼応してグローバル市場へ積極展開を図り「成形の理(ことわり)」を具現化する製品を計画的に市場投入する。
(3)グローバル生産体制の強化
日本、中国、タイ、米国の4極生産体制により生産能力を増強するとともに、生産技術力と品質保証体制を強化する他、グローバル調達体制の強化と内製化の推進によって更なるコストダウンを図っていく。
(4)グローバルリスク管理体制の強化
各国でのリーガルリスクに対応した製・販・財戦略とマネジメント体制を強化する他、コーポレートガバナンス、BCP等に対応したマネジメント体制の強化、グローバルに対応できる人材育成を図っていく。
概要については、2019年5月10日公表の「第三次中期経営計画(2019年度~2021年度)の策定に関するお知らせ」を参照。
2020年3月期の通期業績予想については、業界の動向、市場環境を踏まえた販売施策等を総合的に勘案し、売上高455億円(前期比1.0%増)、営業利益36億円(同2.5%増)、経常利益37億円(同3.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益28億円(同8.1%減)としている。
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