㈱安川電機は4月11日、2019年2月期(2018年3月1日~2019年2月28日=2018年度)の連結業績を発表した。それによると、売上高は4,746億38百万円、営業利益は497億66百万円、経常利益は507億44百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は411億64百万円となった。
安川電機は、前期より事業年度の末日を従来の3月20日から2月末日に変更したことにより、比較対象となる前期(2017年3月21日から2018年2月28日まで)の期間が異なるため、経営成績の概況における前期比増減については記載されていない。
■取り巻く経営環境
2019年2月期における経営環境は、期初に生産設備の高度化・自動化の需要が旺盛だったものの、期半ばからスマートフォン関連の需要に一服感がみられたことに加え、半導体関連の設備投資需要が急減速する状況となった。また、中国を中心に米中貿易摩擦の影響が拡大し、製造業全般で設備投資に慎重な姿勢がみられるようになった。
このような状況下、安川電機グループの業績は中国市場の減速影響を受けた一方で、自動車関連の需要をグローバルで的確に捉えるなど、総じて堅調に推移した。この結果、売上高については過去最高となった。
■地域別の経営環境は以下のとおり。
日 本: 半導体関連の設備投資需要が下期に落ち込んだものの、自動車関連を中心とした生産効率化の需要に支えられ、底堅く推移した。
米 国: 持続する経済成長を背景に、工作機械関連やオイル・ガス関連などの需要は底堅く推移したが、下期にかけては半導体関連の設備投資が弱含んだ。
欧 州: 自動車関連の旺盛な設備投資需要を受け好調に推移した。また、環境エネルギー分野は大型風力発電関連の積極的な投資を背景に高い水準で推移した。
中 国: 前期好調だったスマートフォン関連の需要が急減速したことに加え、米中貿易摩擦の深刻化や金融引締め政策による資金繰りの悪化影響を受け、製造業全般で設備投資を控える動きがみられた。
中国除くアジア: 韓国を中心に半導体や有機EL関連の需要が弱含んだものの、自動車関連を中心に設備投資は堅調に推移した。
■セグメント別状況
<モーションコントロール>
売上高 2,054億23百万円、営業損益339億7百万円。モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成。インバータ事業の販売がグローバルで堅調に推移した一方、ACサーボモータ・コントローラ事業の売上が中国・アジアを中心に減速したことから、セグメント全体の業績は伸び悩んだ。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕
スマートフォン関連や半導体関連の設備投資需要が期の半ばから急減速したことに加え、米中貿易摩擦の影響などにより、中国の製造業全般で設備投資を控える動きがみられたことから、売上高・営業利益ともに伸び悩んだ。
〔インバータ事業〕
米国におけるオイル・ガス関連などの需要が底堅く推移するなど、売上はグローバルで堅調に推移した。
<ロボット>
売上高 1,779億95百万円、営業損益172億98百万円。自動車向けを中心とした堅調な需要を背景に売上高は好調に推移しました。一方、中国における一般産業分野向けの需要の急減速を主因とする操業度の低下などにより、営業利益は伸び悩んだ。
・溶接・塗装ロボットなど自動車関連向けの販売は、グローバルで高水準に推移した。特に欧州市場の売上が大幅に伸長した。
・一般産業分野については、前期好調だったスマートフォン関連の需要が落ち込んだ影響により、売上は伸び悩んだ。
<システムエンジニアリング>
売上高 594億63百万円、営業損益65百万円。売上高は底堅く推移した。営業損益は環境エネルギー関連の再編を通じた経費削減などにより改善し、黒字に転換した。
・鉄鋼プラントシステム・社会システム分野は、国内を中心とした更新需要を的確に捉え、堅調に推移した。
・環境・エネルギー分野では、米国市場における太陽光発電用パワーコンディショナ関連の販売が伸び悩んだ一方、大型風力発電関連の案件を確実に捉え、欧州における売上は大幅に伸長した。
<その他>
売上高 318億55百万円、営業損益4億46百万円。その他セグメントは、情報関連事業や物流サービス事業などで構成されている。子会社の再編や新規連結化、およびEV関連の量産立ち上げによる一時的な影響により、売上高営業利益は堅調に推移した。
■2020年2月期(2019年度)の業績見通し
2020年2月期(2019年3月1日~2020年2月28日=2019年度)の連結業績は、売上高4,650億円(前期比2.0%減)、営業利益465億円(同6.6%減)、経常利益480億円(同5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益350億円(同15.0%減)となる見通し。
なお、2019年3月1日から2020年2月29日までの期間における為替レートは、平均110.0円/米ドル、平均125.0円/ユーロ、平均16.50円/元、平均0.100円/ウォンを想定している。
参考資料:2018年度業績概況
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