・華潤電力グループの12万kW級天然ガス焚きGTCCプロジェクトで
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は4月3日、中国の電力大手である華潤電力グループ(China Resources Power Group)が珠海市(広東省)に建設する火力発電所向けに、H-25形ガスタービン(画像)を2基受注したと発表した。合計出力12万kW級の天然ガス焚きガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備を構成する中核機器で、ガスタービンの単機出力はH-25形の実績で最高の4万kW級となる。2020年後半の運転開始を予定しており、地元工業団地の分散型電源として、電力のみならずガスタービンの排ガスを活用し排熱回収ボイラーを通じて製造プロセス用蒸気の供給を担う。
この発電所プロジェクトを推進する珠海華潤熱電有限公司は、華潤電力グループの全額出資子会社。同発電所は、珠海市富山工業園区に建設。MHPSは、同じ華潤電力グループが泰興市(江蘇省)で進める分散型電源計画向けで昨年受注したH-25形のGTCC案件と同じく、造船・船舶機械大手である中国船舶重工グループ(China Shipbuilding Industry Group)の哈爾浜広瀚燃気輪機有限公司(HGGT:Harbin Guanghan Gas Turbine Co., Ltd.)を通じて、ガスタービン設備一式を受注した。前回案件で高い評価を得たことが、今回の受注につながったもの。
今回の設備は、H-25形ガスタービン、排熱回収ボイラー、蒸気タービンなどで構成されるGTCC設備2系列。MHPSは、このうちガスタービン主機および補機をHGGT経由で納入。併せて、技術者を派遣して機器の据え付け・試運転の指導を手掛ける。また、現地の厳しい排出規制値をクリアするために、MHPS独自のマルチクラスター燃焼器をガスタービンに搭載。NOx(窒素酸化物)排出濃度を15ppm以下に抑制する。この燃焼器は、石炭ガス化複合発電(IGCC)で培った技術が適用されており、ガス燃料を十分な量の空気と混合して素早く希薄な混合気をつくることで低NOx燃焼を可能にする技術。
H-25形ガスタービンは、長時間の運転実績により高い信頼性が確認されたヘビーデューティ型ガスタービン(注)。1987年の初号機受注以来、国内28基、海外157基(今回含む)に達する豊富な実績と運用を誇っている。近年は、特に工業団地向け分散型電源として高いニーズを獲得しており、HGGTを通じた中国向け受注は今回が5案件目、累計受注数では9基となる。
MHPSは、高効率の大容量発電システムから中小型ガスタービンを活用した産業向け省エネシステムまでの火力発電向けフルレンジの製品群を擁しており、トータルソリューションを幅広く提供している。今後も、大規模電源市場はもちろん、H-25形ガスタービンを代表格とする産業・分散型電源市場向け省エネシステムにおいても積極的な営業を展開、多種多様なニーズに的確に対応し、各国・地域の経済発展と環境負荷低減に貢献していく。
(注)一定の出力を維持して長時間連続運転することを前提として設計されたガスタービンで、手入れがしやすく低い保守頻度で済むことを特徴としている。