川崎重工、福島県の須賀川地方保健環境組合向けごみ処理発電施設を納入

 川崎重工業は4月1日、福島県の須賀川地方保健環境組合向けに須賀川地方新ごみ処理施設を納入したと発表した。

 受注した施設は、阿武隈川の支流、滑川(なめがわ)沿いの既存施設敷地内に建設され、須賀川地方保健環境組合が掲げる「周辺環境に配慮した施設」「経済性に優れた施設」「安全性、安定性に優れた施設」「資源循環に優れた施設」「住民に信頼される施設」に基づき計画された。敷地全体の景観に配慮するとともに、万全な公害防止技術で周辺環境への安全と地域の安心にも配慮している。

 施設の処理能力は、1日あたり95t(47.5t/24h×2炉)で、少ない空気量でごみを完全燃焼できる同社独自の並行流焼却炉をベースとしたカワサキ・アドバンストストーカシステムを採用している。さらに、ろ過式集じん器(2段式バグフィルタ)や排ガス再循環システムなど、高度な排ガス処理システムを設置することにより、ダイオキシン類やNOx(窒素酸化物)など国の定める規制対象の基準値を大幅に下回る環境にやさしい施設。

 また、焼却炉に高温高圧ボイラと抽気復水式蒸気タービンを組み合わせて高効率発電(最大発電量1,990kW)を行い、設計値で最大発電効率19%を計画している。同施設で発電した電力は施設内の消費電力を賄うとともに余剰電力を売電する。

 川崎重工と青木あすなろ建設からなる共同企業体が設計と建設工事を行い、川崎重工と㈱シンキが出資する特別目的会社「グリーンパーク須賀川株式会社」が20年間の運営業務を行う。運営にあたっては、先進の自動燃焼制御「Smart-ACC(R)(※1)」を搭載しているほか、遠隔監視システム「KEEPER(※2)」による運転支援や運転計画策定ソフト「WtE SAURS(※3)」による最適な年間運転計画策定支援などにより安定運営をサポートする。

 川崎重工は、今回納入したストーカ式焼却炉をはじめ、各種廃棄物処理技術を有しており、これまで約350基の一般廃棄物処理施設を手掛けている。今後とも、多様化する環境問題やニーズに応えるため、積極的な技術開発と販売活動に取り組んでいく。

※1 Smart-ACC:ごみ焼却施設を従来に比べてより高効率で安定した発電施設として機能させるための当社独自の高度燃焼制御技術であり、時間当たりの発電出力調整幅が従来の約2倍に向上し、電力需要に応じた発電が可能となる。

※2 KEEPE R:ごみ処理施設から離れたベテラン技術者が在籍するサポートセンターから運転状況を監視および支援するシステム。

※3 WtE SAURS:売電収入が最大となる運転計画を自動で策定し、地域のエネルギーセンターとしての価値向上に寄与する。

<須賀川地方新ごみ処理施設建設運営事業の概要>

【建設事業】

発注者:須賀川地方保健環境組合

受注者:川崎重工・青木あすなろ特定建設工事共同企業体

建設場所:福島県須賀川市森宿字ビワノ首地

設備概要:

 (1)ごみ焼却施設:ストーカ式焼却炉 95t/日(47.5t/24h×2炉)

 (2)余熱利用設備:蒸気タービン発電機 1,990kW×1基

契約金額:97億7,400万円(消費税込み)

【運営事業】

発注者:須賀川地方保健環境組合

受注者:グリーンパーク須賀川株式会社〔出資:川崎重工業(株)・(株)シンキ〕

委託期間:2019年4月1日~2039年3月31日(20年間)

契約金額:91億8,000万円(消費税込み)

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