・先端科学技術と産業現場の知見を結集・機械部品の高機能化へ向け研究を深化
東京工業大学(以下、東工大)とコマツは3月25日、東工大における新しい産学連携プログラム「協働研究拠点」の第1号として「コマツ革新技術共創研究所」を4月1日に設置すると発表した。東工大すずかけ台キャンパスに325㎡の専用スペースを確保して、組織対組織の幅広い分野での連携を進めていく。
東工大とコマツは2015年に組織的連携協定を締結し、建設機械などの高性能化に欠かせないトライボロジー技術※を中心として複数の共同研究を進めてきた。現場のノウハウや経験に依存してきたトライボロジー分野で、東工大の機械・材料・化学各分野の研究者とコマツの研究者による基盤的な研究を進めてきたことで、油圧ポンプの寿命延長など、実際の製品にも活用できる多くの知見を得てきた。
※トライボロジー技術:潤滑、摩擦、摩耗、焼付きなど摺動にともなう現象を扱う科学技術
今回設置する共創研究所では、これまでのトライボロジー研究をさらに深化させ、また機械要素全体に研究分野を拡げることで、機械部品の高機能化と長寿命化を図る。さらに産業の現場で現出する未解明事象を基盤研究の源泉として、新たな研究分野を生み出していく構想。そのために、共創研究所では東工大・コマツ双方からの人材による企画室を設置し、連携テーマの探索、研究の企画機能を担っていく。
共創研究所の設置により、東工大にとっては学内にない産業現場の課題への接点、コマツにとっては自社が保有しない先端技術の獲得、さらに双方にとっては新たな人材育成の場の形成につながる。今後も東工大とコマツは、このような取り組みを通じて、先端科学技術と製造業のノウハウを結合して日本の産業競争力の底上げを図っていく。
なお、東工大として共創研究所の設置は最初のケース、コマツの国内大学における研究所の設置は、大阪大学に続き2校目となる。
■協働研究拠点とは
・企業と東工大の組織対組織の大型の連携を実現する新しい制度。
・東工大が学内に拠点専用のまとまったスペースを確保し、共同研究を実行する。
・拠点内に企画室を設けて新たな研究プロジェクトを計画し、連携の枠を拡大する。
・企業は、自社の研究所の分所としての占有スペースを設けられる。それにより、関連する東工大研究室との密なコミュニケーションを可能にする。
<コマツ革新技術共創研究所の概要>
名称:国立大学法人東京工業大学 オープンイノベーション機構協働研究拠点
コマツ革新技術共創研究所
東京工業大学すずかけ台キャンパス S1棟
設置期間:2019年4月1日~2024年3月31日
拠点長:大竹 尚登(東京工業大学 教授 科学技術創成研究院副研究院長)
副拠点長:住谷 明(コマツ 開発本部 材料技術センタ 所長)