千代田化工、工事遂行力強化に向けたデジタル技術を運用開始

   千代田化工建設は3月25日、建設現場での資材管理と作業員の動員管理を効率化するデジタル技術を開発し、千代田化工建設が手掛ける水素化プラント(ブルネイ・ダルサラーム)の建設現場で運用したと発表した。今後、両デジタル技術の社内プロジェクトにおける活用を進め、外販サービスも目指していく。

<背景>

 大型化した海外プロジェクトの建設現場では、数万点を超える資材が用いられ、また1 日に数千人を超える作業員が動員される。従来では資材を管理するための作業者を配置し、バーコードなどを用いた資材管理が行われ、また、作業員の管理では作業員にIC チップを付けて固定のアンテナやGateway をアンテナにしてWi-Fi と通信させることで位置を測位する方法が用いられていた。資材管理は現場の作業効率に直結し、加えて作業員管理も正しい人数が把握できないことで効果的なスケジュールの立案に影響を及ぼすため、千代田化工建設では数年前よりEPC 遂行力強化の観点より、デジタル技術の開発に着手していた。

<資材管理システム概要>

 従来手法ではバーコードなどを用いて資材の保管場所を区分けして管理していたが、広大な資材置き場にて数万点を超える資材一つ一つを管理するには現場作業員に依存したシステムでは追いつかず、人力で資材を探すことが発生し、現場生産性低下の課題があった。

 この問題を解決すべく、RFID(Radio Frequency Identification)システムとドローンによる位置標定技術を千代田化工建設と㈱スカイマティクス(本社:東京都中央区*1)で共同開発し、資材置き場の空撮画像上に資材位置を表示するシステムを開発した。

 同システムにより、資材探しの時間を大幅に短縮し、その資材に関わる現場作業員の待機時間が短縮されるのに加え、資材再製作コストの削減に寄与することで、現場の生産性向上が期待される。

*1)スカイマティクス社はドローンを始めとするリモートセンシングサービスを提供するベンチャー企業。

<現場の労務安全管理概要>

 従来手法ではGPS を作業全員に持たせる方法やIC チップを作業員に付けて固定のアンテナ又はWi-Fi通信を行うGateway をアンテナとして位置を測位する方法が用いられていたが、アンテナが設置されるまで利用できない、電波環境が悪い建設現場ではアンテナの数が多くなる、作業員に持たせる機器又はアンテナが高価になるため導入コストが高いなどの特徴があった。今回、千代田化工建設と㈱エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ(本社:東京都港区、以下NTTPC 社*2)で共同開発を行った技術では、職長の持つ受信機をアンテナにすることで固定のアンテナを設置しなくても作業員の位置を測位できるようになり、電波環境が悪い建設現場での利用が簡単になり、また導入コストの大幅な削減を実現した。

 同システムの導入によって各作業員が1 日に働いた時間と作業エリア毎の職種構成、働いた時間、作業許可証を持っていない作業員を可視化することが可能になり、現場事故時に逃げ遅れた作業員の早期発見や作業許可証を持っていない作業員の発見による安全管理能力の向上、これと効果的なスケジュールの立案による建設力の飛躍的な向上が期待される。

*2)NTTPC 社はネッワーク/データセンター/クラウド事業を手掛けるサービスエンジニアリング企業。

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