川崎重工業は3月14日、韓国のエンジニアリング会社である三千里ES社(本社:ソウル市)から受注していた廃プラスチック・バイオマス焚ボイラを、このほど同社を通じて大手製紙会社である全州製紙(韓国・全州市)へ引き渡しを完了したと発表した。
今回引き渡したボイラは、RPF(※1)および木質チップを燃料とする内部循環流動床ボイラ(ICFB:Internal Circulation Fluidized Bed Boiler)タイプで、川崎重工の同種ボイラとしては過去最大となる毎時131トンの高温・高圧蒸気を供給する。
受注したボイラは、全州製紙の工場内の発電設備更新の一環として採用された。ボイラから発生した蒸気および蒸気タービンから発電された電気は、製紙工場の操業のために使われるとともに、余剰電力は電力事業者に売電される。設備更新一式を請け負った三千里ES社による工事および試運転が無事完了し、順調な運転を続けている。
今回の引き渡しにより、川崎重工の同種ボイラの韓国における納入実績は3件になった。
川崎重工のICFBは、廃プラスチック、PKS(※2)、バイオマス燃料のゴムの木・廃木材・木質チップ、現在は利用が少ない廃棄物固形燃料のRDF(※3)やRPFなどの様々な燃料を使用して、高効率発電に必要な高温・高圧の蒸気を発生させる能力を有している。
受注したボイラは、流動床部を燃焼セルと収熱セルに分け、流動空気の速度差により流動媒体を燃焼セルから収熱セルに循環することを特長としている。これにより燃焼ガスと流動媒体の流れが分けられ、ボイラ内の伝熱管に対して腐食や効率低下の悪影響を及ぼす恐れのある塩素分や、カリウム・ナトリウムなどのアルカリ成分を含む燃料を安定的かつ連続的に燃焼させることができ、これまで利用が少なかった塩素分を多く含む廃棄物固形燃料やアルカリ成分を多く含むバイオマス燃料も使用可能となった。
現在、世界的なエネルギー需要の増加に伴い、廃プラスチックなどの廃棄物のサーマルリサイクルや再生可能エネルギーとしてのバイオマス燃料の利用拡大が見込まれ、同種ボイラへの需要も高まっている。川崎重工はこのような環境を背景に、今後ともグローバルに内部循環流動床ボイラをはじめ、エネルギー関連事業を推進していく。
※1 RPF(Refuse Paper&Plastic Fuel):産業系廃棄物のうちマテリアルリサイクルが困難な古紙および廃プラスチック類を主原料とする固形燃料
※2 PKS(Palm Kernel Shell):パーム椰子果実の殻部分を原料とする燃料
※3 RDF(Refuse Derived Fuel):可燃性の一般廃棄物を主原料とする固形燃料
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