愛知製鋼、「リングギヤ用熱間ローリングミルライン」が竣工

・ディファレンシャルリングギヤ、次世代車の需要拡大とグローバル展開を見据えた新生産ライン構築

 愛知製鋼(本社:愛知県東海市)は3月13日、次世代車(HV、PHV、EV、FCV)を中心にグローバルで需要拡大が予想される駆動系部品戦略の一環として、ディファレンシャルリングギヤ※1の生産能力・品質・納期・コスト競争力強化を目的に、新たな熱間ローリングミル※2ラインを建設し、竣工式を執り行ったと発表した。

 竣工したラインでは、愛知製鋼鍛造品生産の強みである高歩留り※3・高生産性を維持しつつ、今後のグローバル展開を見据え、新開発の電動サーボ駆動の縦型ローリングミルを採用した。金型を従来の横型から縦型に配置変更することで、部品点数の低減と設備のコンパクト化を図ることに加え、酸化スケールの巻き込みを防ぎ、高品質を実現する。また、電動サーボ機構による再現性の高い圧延制御を実現することで、作業者のスキルに依存しない生産を可能とし、グローバルに対応できるラインとしている。さらに、加熱から熱処理工程までの一貫したライン設計と段替作業の改善によるリードタイム短縮を実現し、省エネルギー化やCO2排出量削減にも貢献する。

 自動車業界は現在、「100年に一度の大転換期」を迎えており、次世代車へのシフトにより、エンジン部品の減少が見込まれる一方、リングギヤなどの駆動系部品については、今まで以上に高い需要が見込まれる。また、顧客の現地生産拡大を受け、グローバルでの供給体制強化がますます求められている。

 今後も愛知製鋼は、グローバルでの駆動系部品の競争力向上を図るため、鍛造工場を「マザー工場」とする新生産ラインの構築をさらに進め、顧客への安定品質・安定供給に貢献していく。

<ディファレンシャルリングギヤ用熱間ローリングミルライン 概要>

建設内容:ディファレンシャルリングギヤの鍛造から熱処理工程まで一貫した高速自動鍛造ライン

設置場所:愛知製鋼 鍛造工場内(愛知県東海市新宝町33番の1

設備構成:高周波加熱炉、トランスファー搬送式自動プレス、ローリングミル、FIA※4炉、搬送装置(産業用ロボット)

生産品目:ディファレンシャルリングギヤ

生産能力:約18万個/月

投資額 18億円

※1 ディファレンシャルリングギヤ :車が曲がるときの内側と外側の車輪の速度差を吸収する差動機構に使用されるリング状のギヤで、愛知製鋼の主力鍛造品のひとつ。

※2 ローリングミル :ドーナツ状に成形した製品を圧延し外径を広げる工法で、愛知製鋼が得意とする工法のひとつ。

※3 歩留り :製品をつくるために必要な材料の重量と製品の重量の比。

※4 FIA炉 :“Forging Isothermal Annealing”の略で、熱間鍛造時の保有エネルギーを利用した熱処理。

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