IHIは3月8日、民間航空機エンジン整備事業で発生した不適切な事象に関する中間報告を発表した。~以下、IHIのリリース内容。
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2019年3月5日付「本日の一部報道について」においてお知らせしましたとおり、当社の民間航空機エンジンの整備事業に関し、今年の1月に国土交通省東京航空局殿の立ち入り検査を受け、複数の不適切な事象が生じていることが判明しました。
その後、当社全体の民間航空機エンジンの整備事業について、調査を進めてまいりましたが、これまでに判明した内容の概略をご報告いたします。
1.本事象の概要
今回判明した事象は、国土交通省の基準に基づいて当社が実施した民間航空機エンジン整備を行っている瑞穂工場(東京都西多摩郡瑞穂町殿ヶ谷)で判明した二つの事象です。一つ目は、定められた資格に応じて行うべき検査においてルールを逸脱していた事象、二つ目は、マニュアルに規定された順序で整備作業を行わなかったうえ、作業日でない日付を記録していた事象です。
飛行安全の確保においては、航空機エンジンの整備において、技術的に間違いのないことはもとより、そのプロセスにおいて決められたルールを遵守するということは、その基盤ですが、これら事象は当社が長年にわたり培ってきた品質担保の姿勢を揺るがしかねない、極めて重大なものと厳粛に受け止めております。
対象となる航空会社様ならびに関係機関をはじめとする皆様、当社のすべてのステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑とご心配をお掛けする事態となりましたことを、衷心より深くお詫び申し上げます。
当社が通常、整備する航空機エンジンは、年間100~150台ですが、まずは今回の調査に関しては過去2年分の国土交通省認定のエンジンを対象とし、合計約4万件の検査記録を調査したところ、あわせて211件の不適切な事象が確認されました。
これらの事象については、当社から国土交通省東京航空局や米国連邦航空局(FAA)、ならびに各国の航空局に報告しております。さらに、エンジン製造メーカーに報告を行い、飛行安全には問題ないとの見解を受領していますが、念のため、お客様と調整のうえ、点検等を進めております。
なお、これら事象が判明したことを受けて、当社は2月12日以降、民間航空機エンジン整備事業の検査作業については、自主的に作業を停止しています。
2.原因と背景について
これまでの調査から、当社が長年にわたり培ってきた品質の担保を、組織として徹底する姿勢が欠如していたと言わざるを得ないと判断しています。原因と背景につきましては、現時点では、以下に要約されると考えています。
・安全を第一とすべき航空機エンジン整備の検査記録の公的重要性に関する意識の乏しさ
・検査職場という品質保証上重要な職場に対するマネージメント層の関与不足
・資格が必要な業務を伴う検査職場における実地教育(OJT)制度の不明瞭さ
3.再発防止策について
当社は今後の調査・対策を徹底すべく、すでに社長が直轄する「全社重要不適合対策委員会」を設置しており、役職員一同、信頼の回復に向けて再発防止に取り組んでまいる所存です。
その具体的な詳細は、追って公表いたしますが、現時点、その柱は3点と考えており、その妥当性について外部の有識者に検証を頂きながら実行してまいります。
I、コンプライアンス教育の全面更新
II、航空安全管理体制の抜本的改善
III、業務規定実施体制の見直し
4.今後について
現在、国土交通省殿の調査が続いており、引き続き、国土交通省殿に全面的に協力していきます。また、現在、自主的に停止しております民間航空機エンジン整備事業に関わる検査作業の再開につきましても、再発防止策の確実な実行を急ぎ、国土交通省殿のご指導を賜りながら、慎重に検討してまいります。