日立と日立キャピタル、モルディブの水道インフラ整備事業向けに資金融資枠付き海水淡水化ROシステムを受注

 ㈱日立製作所は2月21日、日立の子会社で海水淡水化RO(*1)システムなどの設計から製造、販売、メンテナンスを手がけるHitachi Aqua-Tech Engineering Pte. Ltd.(日立アクアテック社)と、日立キャピタルのシンガポール子会社であるHitachi Capital Asia Pacific Pte. Ltd.(日立キャピタルアジアパシフィック)は、モルディブのフルマーレ島の都市開発プロジェクトにおいて、水道インフラ整備事業を請け負っており、同国内で上下水道システムの豊富な開発・管理実績があるMale’Water&Sewerage Company Pvt. Ltd(以下、MWSC)から、このほど、資金融資枠の設定を含めた海水淡水化ROシステムや配水管などの設備・機器一式を受注したと発表した。受注額は880万米ドル(約9.7億円)で、2020年6月までに納入予定。

 日立グループは、今後もアジアを中心とした新興国における水インフラ整備事業において、設備・機器の納入のみならず、日立キャピタルグループによる資金面のサポートをパッケージにすることにより、顧客のニーズに合った総合的なソリューションの提供を通じて、各国・地域の発展に貢献していく。

 モルディブ政府は、首都マレ島の人口密集問題の緩和のため、マレ島に隣接する人工島であるフルマーレ島の開発を1997年から行ってきたが、同島は水資源に乏しいことから、海水淡水化ROシステムにより生活用水を賄っている。今回、フルマーレ島の第二期造成開発に伴い、新たなROシステムと配水管網の整備が必要となった。

 日立アクアテック社は、これまでにアジアや中東を中心にROシステムを約500機納入するなど多くの実績がある。また、日立キャピタルグループはASEANにおいて、日立キャピタルアジアパシフィックを事業の統括拠点として、日立グループをはじめとするパートナーを対象に、販売金融などを提供している。

 こうした中、日立キャピタルアジアパシフィックのファイナンスサポートを付加した総合的な提案と日立アクアテック社のモルディブでの豊富な実績などがMWSCに評価され、今回の受注に至った。これによりMWSCは、事業資金の確保に時間をかけることなく、質の高いインフラの整備を実現する。

 日立および日立アクアテック社は、長年培ってきた水事業におけるOT(*2)およびプロダクトの実績・ノウハウに、多様な分野での豊富な実績と知見を持つITを組み合わせて、上下水道や海水淡水化などの水インフラの整備で、顧客や社会の課題解決にグローバルに貢献している。

 日立キャピタルグループは、持続的で安定したエネルギーの提供および資源の有効活用を重要な社会課題の一つと捉え、風力発電をはじめとする再生可能エネルギーなどの発電事業を展開している。今回の受注を契機に海外における水インフラ事業のさらなる拡大に貢献していく。

*1 RO:Reverse Osmosis(逆浸透)

*2 OT:Operational Technology(制御・運用技術)

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