DMG森精機が2月12日に発表した2018年(1~12月)連結業績によると、売上収益は前年比16.7%増の5,012億48百万円、営業利益は同23.4%増の362億61百万円、税引前当期利益は同26.1%増の312億75百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同21.3%増の185億17百万円となった。
受注額は、前年度比11%増の4,970億円となった。ただ、上期の受注は前年同期比23%増と好調に推移したものの、下期の受注は高水準を確保するもほぼ前年並みに留まった。CELOS、テクノロジーサイクル、周辺装置を含む自動化需要が伸長し、受注総額に占める自動化案件の比率は24%(前年度17%)まで向上した。また、5軸機、複合加工機の他、超音波及びアディティブマニュファクチャリングなどの先端技術の受注も伸長した。
地域別には、日本が前年度比24%増と最も高い伸びとなり、次いで米州が13%増、欧州、中国がそれぞれ7%増、インドを含むアジアが4%増と各地域とも増加した。日本、米州、欧州は、年度を通じて高水準の受注を確保した。中国市場については、業界がスマートフォンの筐体加工関連の需要減の影響を受ける中、DMG森精機はその関連事業が一切なく、第3四半期(1-9月)までは、トラック、バスなどの輸送機器、エネルギー関連、一般機械向け受注増を享受した。しかし、第4四半期に入り、米中貿易摩擦の影響を避けられず、需要減に加え、顧客の外貨調達難から、DMG森精機の受注計上要件となる前受金の受領が遅れる傾向が生じ、受注は大幅な減少が続いている。年度での地域別受注構成比は、日本が18%、米州が18%、欧州が50%、中国が8%、インドを含むアジアが6%となった。
2019年度(1~12月)は、日本工作機械工業会が受注を前年度比約12%減と予想するなど、高水準の中での調整局面を迎える見込み。そのような環境下にあって、DMG森精機は今まで進めてきた5軸機、複合加工機などの工程集約型機械、自動化システムの需要増、超音波加工機、アディティブマニュファクチュアリングなど先端加工技術の用途拡大に手応えを感じており、引続き受注の拡大に尽力していく。
2019年12月期の売上収益は、5,000億円(前期比0.2%減)、営業利益360億円(同0.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益190億円(同2.0%増)の見通し。
■2018年の取り組み
DMG森精機では、事業戦略として製造現場での自動化・複合化の促進と5軸加工機の普及、統合的なデジタル化によるインダストリー4.0の実現に取り組んでいる。さらにアディティブマニュファクチャリング(積層造形)の発展やDMQP(DMG森精機認定周辺機器)パートナーとの連携を通じ、すべての顧客に最適なソリューションを提供していく方針。
2018年は、70周年記念事業の一環として顧客や奈良県・三重県の教育機関等に5軸加工機を貸出してきたほか、10月にデジタルソリューションを活用したモデル工場として、ポーランドFAMOT工場をグランドオープンさせた。さらにクーラントタンク内の微細なスラッジを回収するゼロスラッジクーラントタンクをはじめとする最先端の技術で、自動化やデジタル化の進んだ製造現場における高性能かつ低メンテナンスの機械への要求にお応えしてきた。DMG森精機はあらゆる顧客の生産活動の課題解決を一手に引き受け、激しく変革する社会の中で重要な役割を果たし続ける。
技術面では、大型5軸加工機DMU 200 Gantry及びDMU 340 GantryをJIMTOFで日本初披露し、11月から国内で販売開始した。標準搭載の自社製主軸speedMASTERが高速かつ高精度な加工を実現するだけでなく、ガントリ構造の固定テーブルを採用することにより、重量ワークや偏荷重ワークへの対応も可能となった。
DMUGantryシリーズは、アルミのほかGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の大型加工物も効率よく加工できることから航空宇宙業界や金型業界の顧客に最適である。また、急速なデジタル化への対策として、ヒューマンマシンインターフェイスCELOSにマカフィー㈱の「McAfee Embedded Control」を2019年6月以降の日本国内生産機に標準採用し、システムの停止や情報流出を阻止する情報セキュリティ対策を強化する。
販売面については、11月に東京で開催されたJIMTOF2018や、独国ゼーバッハ工場での自社展示会オープンハウスにおいて、最先端機械とデジタル技術を駆使した製造業の未来を顧客にご紹介した。さらに、11月にフランクフルトで開催されたformnext2018や、同月に東京で開催された国際航空宇宙展2018などの展示会を通じ、LASERTEC 30 SLM 2nd Generationを活用したDMG森精機のアディティブマニュファクチャリング技術の実例を紹介した。
DMG森精機では、「よく遊び、よく学び、よく働く」をモットーに、社員が安心して力を発揮できる健康的な環境の整備を進めている。12月からは、一日の勤務時間を12時間以内とした上で、退勤から次の出勤までを12時間以上あける「12時間インターバル制」を導入した。さらに、老朽化した社員寮を順次刷新しており、社員の住環境の改善を図っている。また、DMG森精機は「DMG MORI SAILING TEAM」を発足させ、日本における外洋ヨットレースの第一人者である海洋冒険家の白石康次郎氏を迎え入れて、単独・無寄港・無補給の世界一周レース「Vendée Globe2020」に挑戦する。長年トップクラスのモータースポーツにおいてテクニカルパートナーを務めてきた経験を活かし、あらゆる自然環境に耐えうる剛性、精度を追求した最先端の船舶の提供を通して、製造業の発展に貢献していく。
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