日本電産、ドイツの大型減速機メーカー、デッシュ社を買収

・総合減速機メーカーへ脱皮

 日本電産は2月1日、1月31日に日本電産子会社である日本電産シンポ(本社:京都府長岡京市)のドイツ現地法人Nidec-Shimpo GmbHを通じ、ドイツの大型精密減速機メーカーであるデッシュ・アントリープステヒニク社(DESCH Antriebstechnik GmbH & Co. KG) 及び同関連会社(以下、デッシュ社)と持分譲渡契約を締結し、同社持分の70%を取得することになったと発表した。

 日本電産は、日本電産シンポを通じて、減速機及びプレス機の製造・販売・サービス事業を展開している。同社の減速機事業は、従来から扱っていた同芯軸の精密減速機と、昨年8月に買収したドイツの減速機メーカー、グレスナ―社の直交型精密減速機を主力としており、いずれも小型精密減速機の分野に入り、対象顧客は半導体製造装置・包装機械・印刷機械等の自動化機械産業、ロボット産業が中心。一方、デッシュ社は、工作機械、建機、農業機器、プレス機用向けの大型精密減速機、クラッチ及びブレーキを主力製品としており、同分野では世界最高峰の品質を有し、欧州を中心に高いブランド認知度を誇っている。

 この買収により日本電産シンポは、小型精密減速機メーカーから総合高精度減速機メーカーへと脱皮することができる。加えて、デッシュ社の高精度大型減速機は、大型サーボプレス機に使用する減速機としては業界最高の品質とブランド力を有していることから、日本電産シンポが行うプレス機事業において、サーボプレス機と減速機のモジュール販売・提案をプレス機ユーザー様に行うことができる。さらに、日本電産グループが持つアジア、アメリカでの販売・サービスネットワークを活用し、デッシュ社の大型減速機を拡販するとともに、日本電産シンポの減速機、プレス機をデッシュ社の親密先に販売展開していくことによるクロスセル効果も期待できる。

 日本電産グループとデッシュ社、それぞれが持つ技術力、ブランド力、顧客基盤の相互利用に加え、日本電産グループの資金力を活用し、グローバルベースでの減速機市場及びプレス機市場発展に貢献していく。

<買収企業概要>

会社名:デッシュ・アントリープステヒニク社(DESCH Antriebstechnik

GmbH & Co. KG) 及び同関連会社

本社所在地:ドイツ北西部 アルンスベルク市

設立:1906 年

役員体制:ヘンドリック・デッシュ(社長)、オラフ・デッシュ(マネージング・ディレクター) (両氏は買収後も継続して上記役職に留任する)

事業拠点:ドイツ

事業内容:大型精密減速機の製造、販売

従業員数:約400名

売上高:2017年12月期 64.7百万ユーロ(約84億円*)

      2018年12月期(見込み) 92.9 百万ユーロ(約121億円*)

     (*) 対ユーロの為替レートは2018年度弊社想定レートである130円を使用。

 ニュースリリース

*参考

日電産、独機械部品メーカーを100億円で買収・・・・・・2019年2月1日 日経電子版より

 日本電産は3月をメドに、ドイツの機械・建機部品大手デッシュを買収する。買収額は100億円前後の見込み。機械の駆動に使う「減速機」の製品群の強化につなげる。18年度内にも同分野で計5社を買収する計画だ。欧州の生産・販売体制を強化し、米中貿易戦争のリスクを緩和する狙いがある。

 子会社の日本電産シンポ(京都府長岡京市)を通じて、デッシュの創業家からまず7割の株式を取得する。同社は建設機械、工作機械、海洋・鉱山機械向けの減速機を強みとし、年間売上高は約121億円。日電産シンポは従来、ロボットなどに使う小型減速機が中心だった。デッシュの製品群を加え、減速機のラインアップを拡充する。

 独企業の取得で、製造業のデジタル化を促す第4次産業革命(インダストリー4.0)への対応を加速する。さらに米中貿易戦争の影響で、中国市場での不透明感が増す中、欧米事業を強化する。

 日電産シンポは18年度内にも減速機で独5社の買収を計画している。買収が決まったのは、18年8月の独MSグレスナーに続き今回が2件目。近く他の3件の買収案件もまとめる。日本電産にとって、今回のM&A(統合・買収)は発表ベースで63件目となる。