コマツ、18年4~12月売上は11.8%増の2兆186億円、建設機械・車両は北米、アジア中心に好調続く

 コマツが1月31日に発表した2019 年3 月期第3 四半期(2018年4~12月)の連結売上高は2 兆186 億円(前年同期比11.8%増)となった。建設機械・車両部門では、北米、アジアを中心に多くの地域で需要を着実に取り込んだことから、売上げは前年同期を上回った。産業機械他部門では、自動車業界向けの鍛圧機械および工作機械の販売が増加したことなどにより、売上げは前年同期を上回った。

 利益については、各地での売上げの増加や一昨年4 月より連結に加わったコマツマイニング㈱において買収に係る一時費用の減少などがあったことにより、営業利益は2,958 億円(前年同期比59.0%増)となった。売上高営業利益率は前年同期を4.4 ポイント上回る14.7%、税引前四半期純利益は2,779億円(前年同期比29.1%増)、コマツ株主に帰属する四半期純利益は1,841 億円(前年同期比18.8%増)となった。

コマツ2019年3月期第3四半期データ

■部門別の概況

【建設機械・車両】

 建設機械・車両部門の売上高は1 兆8,458 億円(前年同期比11.3%増)、セグメント利益は2,725 億円(前年同期比49.9%増)となった。

 昨年4 月より、国内において建設機械の販売・サービスを手がけるコマツ建機販売㈱、同じくレンタルを行うコマツレンタル㈱、また、フォークリフトの販売・サービスおよびレンタルを手がけるコマツリフト㈱を統合し、コマツカスタマーサポート㈱とした。3 社が統合し連携することで、変化する外部環境への対応を図るとともに、顧客へのサポート体制を強化することで、より一層顧客に満足度を高めるよう努めた。

 また、2015 年2 月にスタートした建設現場向けソリューション事業「スマートコンストラクション」を着実に推進し、これまでに6,900 を超える現場に導入した。同事業については、昨年5 月より新サービス「Everyday Drone」を開始し、自動運航する専用ドローンと現場で高速にデータ処理ができるエッジコンピューティングを使うことで、これまで丸1 日かかっていた現場の3D 現況測量データ生成を約20 分で完了させるなど、現場の進捗管理を日々可能にした。10 月には、アジア最大級の規模を誇る国際展示会「CEATEC JAPAN 2018」に初出展し、「もっと安全で、もっと生産性の高い、もっとスマートな未来の現場」をテーマに、開発中の自律稼働建機など、「スマートコンストラクション」の新しい挑戦を紹介した。

 今後は、自律稼働建機などの早期実用化へ向けた研究開発を進め、安全と生産性を高めた「未来の現場」の実現を加速させていく。

■地域別の概況

<日本> 日本では、災害復興等によるレンタル需要の増加があったものの、一昨年9 月に施行された新排出ガス規制に伴う駆け込み需要の反動減などの影響により、売上げは前年同期を下回った。

<米州> 北米では、エネルギー関連やインフラ工事関連を中心に需要が引き続き好調であり、売上げは前年同期を上回った。中南米では、アルゼンチンにおいて市場環境悪化に伴い需要が減少したものの、ブラジルやチリでの需要が増加したことなどにより、売上げは前年同期を上回った。

<欧州・CIS> 欧州では、主要市場であるドイツや英国を中心に需要が堅調であり、売上げは前年同期を上回った。CIS では、一般建機・鉱山機械ともに需要が引き続き好調であり、売上げは前年同期を上回った。

<中国> 中国では、前年同期より需要の伸び率は鈍化しているものの、全国的なインフラ工事の伸長などにより、売上げは前年同期を上回った。

<アジア・オセアニア> アジアでは、石炭価格の上昇に伴い、最大市場であるインドネシアで鉱山機械の需要が引き続き好調であることなどから、売上げは前年同期を上回った。オセアニアでは、一般建機・鉱山機械ともに需要が増加したことにより、売上げは前年同期を上回った。

<中近東・アフリカ> 中近東では、イエメンの内戦に伴う各国政府の緊縮財政の影響などにより公共工事の需要が減少したことや、トルコの通貨安の影響もあり、売上げは前年同期を下回った。アフリカでは、南アフリカでの鉱山機械の需要が増加したことなどにより、売上げは前年同期を上回った。

【リテールファイナンス】

 リテールファイナンス部門では、北米などで増収となったが、前年同期にチリでのリース契約の中途解約に伴う中古車売上という特異要因があり、売上高は461 億円(前年同期比0.4%増)とほぼ横ばいになった。セグメント利益は、中国で2016 年度に貸倒引当金を計上した債権について一部回収が実現し、引当金の戻しを行ったことなどにより、131 億円(前年同期比46.6%増)となった。

【産業機械他】

 産業機械他部門では、自動車業界向けの鍛圧機械および工作機械の販売増加に加え、好調な半導体市場でのエキシマレーザー関連製品の販売増加などにより、売上高は1,427 億円(前年同期比17.5%増)となった。セグメント利益は126 億円(前年同期比38.8%増)となった。

 コマツ産機㈱では、昨年12 月に新型レベラーフィーダ「SF100H-1」を発売した。当該機は、搬送能力を高めるとともに、同3 月に発売した新型サーボプレス「H2FM」との完全同期運転に対応している。プレスとレベラーフィーダが一体となって機能する設計などにより、簡易な操作で従来機比約30%の生産性向上を実現した。

■2019年3月期見通しは前回予想を変えず

 2019年3月期通期の連結業績については、売上高2兆6,620億円(前期比6.4%増)、営業利益3,810億円(同41.9%増)、税引前当期純利益3,620億円(同24.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,400億円(同22.2%増)と、前回予想を据え置いた。

 コマツの2019年3月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算説明資料