日立建機、18年4~12月期売上は8.7%増の7,432億円、通期見通しは1兆円

 日立建機が1月30日に発表した2019年3月期第3四半期(2018年4~12月)連結業績によると、売上収益は、特にアジア大洋州・北米・欧州・中国で新車販売及び部品サービスを中心とするバリューチェーンの双方で増加したことにより、7,431億9千2百万円(前年同期比8.7%増)となった。利益項目については、売上原価率の低減を図り、部品サービスとマイニング事業の貢献により、調整後営業利益は851億1千5百万円(同29.4%増)、営業利益は813億3千6百万円(同19.0%増)、親会社株主に帰属する四半期利益は513億7百万円(同20.1%増)と大幅に向上した。

日立建機2019年3月期第3四半期データ

■セグメント別業績

<建設機械ビジネス>

 油圧ショベル需要は、日本・中近東・アフリカを除く各地域で前年同期を上回った。また、マイニング機械需要は鉱山会社の投資増加を受け、前年同期を上回っている。4~12月期の売上収益は、コンストラクションとマイニングの新車販売と、部品サービスを中心とするバリューチェーンの双方で伸びた。地域としてはオセアニア・北米・中国・アジアで売上が伸び、新興国通貨による為替影響を若干受けたものの、6,700億7千5百万円(前年同期比9.0%増)となった。

 調整後営業利益は、生産増加に伴う費用や研究開発費などの間接費が増加したものの、新車販売の増加に加え、部品サービスやレンタルなどが貢献し、805億8千2百万円(同24.5%増)となった。

<ソリューションビジネス>

 2016年度に連結子会社化した、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken社とサービスソリューションを提供するH-E Parts社で構成されている。

 4~12月期の売上収益は、米州や欧州・ロシアCIS等でマイニング機械向け売上が堅調に推移し、735億7千6百万円(前年同期比5.8%増)となった。調整後営業利益は、資産再評価(PPA)による無形資産の償却負担を含み、45億3千3百万円(同328.4%増)となった。

■2019年3月期の連結業績見通し

 

 2019年3月期の油圧ショベルの需要は、日本・中国で足元の状況を反映し、第2四半期時点の見通しより4千台下方修正し、前年比微増で推移すると見込んでいる。マイニング機械については、引き続き鉱山会社の投資増加が見込まれ、前年比若干増加すると見込んでいる。特に超大型のダンプトラックや油圧ショベルの需要も年度当初の見通し通り増加すると見込んでいる。

 変化の兆しが出てきた市場もある中、日立建機グループとしては、グローバルの市場動向の変化にこれまで以上に注視し、販売強化に取り組み、変化に迅速に対応する生産体制の強化に取り組んでいく。

 なお、米中経済摩擦や英国のEU離脱など、建設機械市場にもさまざまな懸念材料はあるが、2019年3月期連結業績予想(2018年4月1日~2019年3月31日)を4~12月期実績を踏まえて下記の通り修正した。

 売上収益1兆円(前期比4.3%増)、営業利益1,000億円(同6.9%増)、税引前当期利益920億円(同3.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益580億円(同3.3%減)となる見通し。

 前提となる2019年1月以降の想定為替レートについては前回発表時の米ドル100円、ユーロ120円、人民元15.5円を据え置いている。

■2017年度からの取り組み

 日立建機グループは、2017年度からの中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」に掲げる経営施策を推進している。顧客の事業課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト(燃料費・維持費・修理費等を含む費用)低減」に繋がるICT・IoTを活用した解決策を「Solution Linkage」と位置付け、その開発・提供を推進している。また、従来からの部品サービス事業に加え、2016年度に連結子会社化したH-E Parts社、Bradken社のマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業強化の取り組み、ACME社を通じた北米レンタル事業への参入など、新車販売以外での収益拡大を図るべくバリューチェーン(新車販売以外の事業である部品サービス、ソリューションビジネス、レンタル等の事業)の深化を推進中。

 部品サービス事業の中でも「ConSite」では、建設機械業界初となる、センサによりオイルの状態を遠隔で検知しエンジンや油圧機器の故障予知を行う「ConSite OIL」等をメニューに加え、顧客のライフサイクルコストの低減に寄与している。

 ICT・IoTを活用した解決策の提供推進としては、日立建機として初めて海外市場におけるICT油圧ショベルの市場投入を決定し、日立建機ヨーロッパ社のアムステルダム工場内にICT施工が体験できるICTデモサイトを開設する等、日本に加えて欧州地域でもICT施工の普及に努めている。

 マイニング事業については、日立建機は日立グループと力を合わせて高度な車体安定化制御を実現したリジッドダンプトラックAC-3シリーズの拡販に努めるとともに、鉱山運営の効率化に貢献するマイニング機械の運行管理システムの提供や自律運転技術(AHS)の開発に積極的に取り組んでおり、現在、オーストラリアのホワイトヘイブン社と協業を進めている。

 グローバルな製品開発力と競争力の強化に向けて、昨年9月に発表した通り国内主要開発・生産拠点の大幅な再編を行い、高効率で市場変動に強い生産体制を構築すると同時に将来の設備投資の適正化や固定費削減等を実現し、変化に強い高収益体質の確立に取り組んでいる。

 また、茨城県内5工場において、IoT技術を駆使し電力消費量などの見える化を実現する日立の「EMilia(エミリア)」を活用した電力のピークカットと待機電力削減や、日立建機が独自開発した装置を用いた未利用エネルギーの回収などのエネルギー生産性を向上する取り組みを実施している。この取り組みが評価され、平成30年度「省エネ大賞」(主催:一般財団法人省エネルギーセンター)の省エネ事例部門において、「省エネルギーセンター会長賞」を受賞した。

 日立建機の2019年3月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算説明

 地域別市場環境と見通し