新年あけましておめでとうございます。平成31 年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
昨年の世界経済は、一昨年より続く好調な米国経済と、各種政策効果により伸張した中国経済に牽引されて、好調を維持したまま年初より推移しました。しかしその後、米国の金利政策や米中の通商問題、途上国の通貨危機など、世界経済の先行き不安材料が次々に現れた結果、景気の停滞に対する警戒感も感じられた一年でした。一方、RCEP やTPP 協定など日本や中国、アジア太平洋地域の自由貿易の振興政策による経済巻き返しの動きもあり、世界経済の先行きはより混迷の度を増したように思えます。
さて、我が国の経済状況ですが、昨年は国内経済に影響を及ぼすような大きな自然災害が頻発した年でした。大阪北部地震(6 月)、西日本集中豪雨(7 月)、大形台風の来襲と北海道東部地震(9 月)など、多くの方の命や財産が失われる大きな災害に、次々に見舞われました。被害にあわれた方々には謹んでお悔やみ申し上げたいと思います。これらの災害は、電力供給、生産、物流を中心に国内経済活動に大きなダメージを与えましたが、国内全体を通しての景気感は良好で、景気動向指数は年間を通じてプラス成長を維持しており、鉱工業生産額や設備投資額も、比較的高いレベルで推移した一年でした。
次に、昨年の当協会が扱う陸用エンジンの生産実績についてご紹介したいと思います。当協会では毎月の生産状況をホームページに公表しておりますが、一昨年、平成29 年1 月から12 月までの国内と海外を合わせた平成29 年の年間総生産台数は14,335,506 台でした。
昨年、平成30 年は1 月から9 月までの総生産実績が、前年同月比99.7%でしたので、このまま生産が推移すると仮定して、平成30 年度の1 月から12 月までの国内と海外を合わせた陸用エンジンの総生産台数は14,287,000 台と見込まれます。内訳は、ディーゼルエンジンが2,116,000 台(前年比114.9%)、ガソリンエンジンが12,074,000 台(同97.4%)、ガスエンジン97,000 台(同98.3%)でした。ディーゼルエンジンの増産は主に海外向けの国内生産分で、ガソリンエンジンの減少は、主に海外生産分でした。
次に、協会の最重要活動として取り組んでいる環境対応活動についてご紹介します。昨年6 月に国際内燃機関工業会、英語でInternational Internal Combustion EngineManufacturers Association、略してIICEMA(アイ・アイ・セ・マ)といいますが、このIICEMAの年次総会がベルギーのブラッセルで開催され、当協会から7 名が参加しました。
この会議では車両用以外のノンロードエンジン、を6 つのグループに分けて、世界の代表5地域、ヨーロッパ、アメリカ、中国、インド、日本のエンジン製造業界団体の代表が、環境対応基準とその対応技術、時期について、国際協調の観点から、討議し推進を促す会議です。
当協会はこの6 つのグループのうち、建設・農機・発電用エンジンを扱うCAI グループ、家庭用園芸機器用エンジンを扱うLGU グループ、定置発電用エンジンを扱うStationaryグループ、の3 つのグループ討議に参加し、現在国内で事前協議されているディーゼルエンジンの次期環境規制の進捗と、陸内協が管理している19kW 未満ガソリンエンジンの自主規制実施状況などについて報告しました。なお、次回の国際内燃機関工業会の年次総会は本年11 月に中国北京市で行われる予定です。
次に、当協会の主催行事ですが、昨年は様々な作業機の電動化が提案される中で、内燃機関に期待される役割と環境保全・環境負荷低減の観点から内燃機関の将来的な可能性をテーマに技術フォーラムを開催し、活発な意見交換が行われました。また、本年2 月には、内燃機関の設計ノウハウを、若い技術者に引き継いでもらうための講習会も企画しています。このように、技術継承や、先端技術探求も当協会の重点事業として取り組んでいきたいと考えております。
さて、日本陸用内燃機関協会は昨年5 月1 日をもちまして創立70 周年を迎え、11 月16日には明治記念館において、230 人を超える参加者を得て、盛大に記念式典を挙行いたしました。このような長きにわたり協会としての役割を果たせてきたことは、ひとえに皆様のご支援の賜物と考えております。今後とも、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
最後に、本年が皆さま方にとりまして良い年でありますよう、心からお祈り申し上げますとともに、ますますのご発展とご多幸を祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
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