神戸製鋼、アルジェリアのMIDREX直接還元鉄プラントが完成し生産開始

 ㈱神戸製鋼所は12月18日、米国子会社であるMidrex Technologies, Inc.(以下 ミドレックス社)と、ライセンス供与先であるルクセンブルクのエンジニアリング会社Paul Wurth S.A.(以下 PW社)のコンソーシアムが2015年に受注した、アルジェリアでのMIDREX(R)直接還元鉄(※1)プラント(画像)が完成し、2018年11月から生産を開始したと発表した。

 完成したプラントは、トルコのTosyali Holding(以下 トスヤリ社)がアルジェリア北西部のオラン市近郊で操業中のTosyali Algeria製鉄所向け。アルジェリア初の直接還元鉄プラントであり、MIDREX(R)プラントとしては世界最大の年産能力250万トンを誇る。

 2018年7月から試運転を行い、同年11月からCold DRIの生産を開始した。プラント完成に伴い、トスヤリ社の主催で、アルジェリアのユーセフ・ユースフィー産業・鉱業大臣の視察も実施された。

 今後はHot DRIの生産を2019年2月から開始の予定で、これをもって本格的な商業生産開始となる。同プラントから還元鉄(DRI)を供給することで、同製鉄所での高品質な鉄鋼製品の生産に寄与するともに、輸入スクラップの購入削減も期待できる。

 PW社は、2014年2月に神戸製鋼所からMIDREX(R)法を活用した直接還元鉄プラントの設計、建設及びマーケティングのライセンス供与を受けている。今回のプロジェクトではミドレックス社と共同で受注活動を行い、PW社を活用したスキームで初めての受注となった。今回は、両社コンソーシアムが設計及び主要機器供給を担当した。

 ミドレックス社は、直接還元鉄製鉄法のエンジニアリングサービス事業を営み、神戸製鋼所が1983年に買収している。MIDREX(R)プラントは、世界の還元鉄製鉄法の中で約65%を占めるリーディングプロセス。同方式は、天然ガス(もしくは石炭由来のガス)を還元剤として、鉄源は粉鉱石を加工したペレットを使用しシャフト炉によって還元し、還元鉄を製造する。高炉法に比べ製鉄工程でのCO2排出量を抑制できることなどが特長で、世界で79基(2018年11月時点)が稼動している。今後も神戸製鋼所グループにおける還元鉄ビジネスの柱としてグローバル展開に貢献し、更なる成長に向けて取り組んでいく。

※1:還元鉄(DRI: Direct Reduced Iron)=鉄鉱石を還元した鉄鋼原料。炉内で還元したDRIを、冷却せずに炉から排出したものを、Hot DRI(HDRI)、冷却したものをCold DRI(CDRI)という。不純物の少ない清浄鉄源であり、高級スクラップや銑鉄の代替品として、電気炉で(近年は高炉や転炉でも)鉄源として使用される。

<Midrex Technologies, Inc.概要>

設立:1983年(買収)

所在地:米国 ノースカロライナ州 シャーロット市

代表者:社長・CEO Stephen Montague(スティーヴン・モンタギュー)

従業員:約180人(2017年12月末時点)

<Paul Wurth S.A.概要>

設立:1870年

所在地:ルクセンブルク ルクセンブルク市

代表者:CEO Georges Rassel(ジョルジュ・ラッセル)

従業員:約1,600人

売上高:391.5百万ユーロ(2017年)

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