富士フイルム、米国の半導体材料拠点に約100億円投資-AI・IoT・5Gなど需要拡大に対応

 富士フイルムは12月13日、半導体材料事業をさらに拡大するため、米国の半導体材料の開発・生産・販売拠点であるFUJIFILM Electronic Materials U.S.A.,Inc.(以下、FEUS、本社:ロードアイランド州ノースキングスタウン)において、最先端半導体材料の開発・生産・品質保証などの設備を増強すると発砲した。設備投資の総額は、2018年12月より3年間で約100億円。

 AI・IoTや次世代通信規格「5G」の普及、自動運転技術の進化などにより、半導体のさらなる需要拡大と高性能化が見込まれる中、半導体の微細化が進んでいる。これに伴い、より純度の高い高性能・高品質な半導体材料を安定的に供給することがますます求められる。

 富士フイルムは、日本・米国・台湾・韓国・ベルギーなどに半導体材料の研究・開発・生産・販売拠点を置き、フォトレジスト(※1)や現像液、CMPスラリー※2、高純度溶剤、イメージセンサー用材料(※3)など先端半導体材料をグローバルに提供している。各拠点では、半導体の需要拡大や高性能化を見据えた設備増強を進め、現地生産体制や品質保証体制を拡充するなど、顧客サポート力を高めて顧客満足度のさらなる向上を図っている。

 今回、富士フイルムは、FEUSのアリゾナ州ロードアイランド州の2工場において、最先端半導体材料の開発・生産・品質保証などの設備を増強する。アリゾナ州の工場では、CMPスラリーや高純度溶剤の開発強化のために新棟を建設。新棟内にクリーンルームを設置するとともに、最新鋭の検査装置なども導入し、開発のスピードアップや品質保証体制の拡充をさらに進めていく。また、CMPスラリーの増産に向けた設備投資も行い、高まる需要増に対応していく。

 さらに、ロードアイランド州の工場では、最先端のNTI(※4)用現像液の生産設備を増強する。さらなる高純度化ニーズに応えていく。

 富士フイルムは、現在、高い成長が期待できる半導体材料分野に積極的に経営資源を投入し、事業拡大に向けて取り組んでいる。今後も、最先端の半導体材料を開発し、ワールドワイドに提供していくことで、半導体産業のさらなる発展に貢献していく。

※1 半導体製造工程で、回路パターンの描画を行う際にウエハー上に塗布する材料。

※2 Chemical Mechanical Polishing(化学的機械研磨)の略。半導体の製造プロセスで使用されるウエハーを平坦化するための研磨剤。

※3 デジタルカメラや携帯電話に用いられるCMOSセンサーなどのイメージセンサーのカラーフィルターを製造するための着色感光材料製品。

※4 Negative Tone Imagingの略。露光した部分が基板上に残るネガ型現像液を用いて、従来のポジ型現像より微細化に対応できるパターニングプロセス。

 <設備投資の概要>は、→ニュースリリース