栗田工業、ノルウェーの舶用機器メーカーTeamTec社と販売契約を締結しバラスト水処理システムのグローバル事業展開を強化

 栗田工業は12月4日、ノルウェーの舶用機器メーカーTeamTec AS(以下、TeamTec社)とバラスト水処理システム「KURITA BWMS」の販売契約を締結し、グローバルな事業展開をより一層強化していくと発表した。

 栗田工業はバラスト水(*)の排出による海洋環境や生物多様性への影響をグローバルな社会的課題と捉え、解決に向けた取り組みを推進している。今年4月にスタートした中期経営計画「MVP-22(Maximize Value Proposition 2022)」においても、バラスト水問題の解決を「社会との共通価値の創造」に向けた重要施策に位置付け、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献する活動として、その取り組みを強化している。2017年3月にはバラスト水管理条約の発効に先駆け、国際海事機関(IMO)の「バラスト水管理システムの承認に関するガイドライン(G8)」認証および国土交通省の「型式指定」を取得し、栗田工業独自のバラスト水処理システム「KURITA BWMS」の販売を開始した。

 KURITA BWMSは、バラスト水を薬剤のみで殺滅処理する水処理システム。バラスト水に含まれる生物のろ過装置(フィルター)が不要なため設置スペースが少なく、薬剤貯留槽、薬剤注入・制御装置からなるシンプルな構成により、既に就航している船舶(以下「就航船」という)への搭載において工期短縮などのメリットを提供する。

 2017年9月に発効した「バラスト水管理条約」により、新造船ではすでにバラスト水処理システムの搭載が開始されており、就航船についても2024年までの搭載が義務付けられている。

 TeamTec社は、バラスト水処理システムの他にも船舶用焼却炉などを製造・販売している舶用機器メーカーであり、船舶業界を中心とした幅広い顧客層に対し、グローバルな営業・サービスネットワークを保有している。

 栗田工業はTeamTec社の顧客層におけるバラスト水処理システムの搭載需要を取り込むことで、搭載のピークを迎えるとされる2022年までにKURITA BWMSの販売台数を数百台規模へと拡大し、バラスト水処理市場におけるシェア向上を目指していく。

 一方、TeamTec社は、電気分解とフィルターによるバラスト水処理システム「Oceansaver(R)」を自社商品として保有し、同市場で豊富な販売実績を有しているが、薬剤方式のKURITA BWMSを商品ラインナップに加え、顧客のニーズによりきめ細かく対応できる体制を整えるとともに、栗田工業との協業を加速していくことで、シナジーの発揮に注力していく考え。

 クリタグループは、地球規模でのバラスト水問題の解決に向けて、KURITA BWMSのグローバルな展開を目指し、米国に寄港する船舶に独自のバラスト水の管理を要求する「USCG(米国沿岸警備隊)」の型式承認申請も進めている。海洋環境と生物多様性の保全に貢献するバラスト水処理システムの適用拡大を通じて、持続可能な社会の実現を目指していく。

(*)バラスト水:船舶が荷下ろし後の船体のバランスを保つため、船内タンクに取り入れる海水をいう。航海をして別の港で荷物を積み込む際には排出するが、その中に含まれる水生生物や細菌などが排出先海域で環境被害(生態系の破壊)の他、経済的被害(産業・漁業活動への被害)、人の健康被害(有害細菌による病気の発生)を発生させており、越境移動を防ぐことが社会的課題となっている。

<TeamTec AS社の概要>

社名:TeamTec AS

設立:1995年

資本金:1,185千NOK(161百万円)

本社所在地:Tvedestrand,Norway

事業内容:バラスト水処理システム、舶用機器の製造、販売、メンテナンス

従業員数:73人

主要拠点:ノルウェー、シンガポール、韓国、他協業拠点(中国、韓国、米国、欧州等)

 ニュースリリース