プライメタルズテクノロジーズ、チリのCAP ACERO社より転炉2号基に続き1号基更新工事を追加受注

 プライメタルズテクノロジーズ(以下、PT社)は11月29日、チリの Compania Siderurgica Huachipato S.A.(以下、CAP ACERO 社)より、同社チリ・タルカワノ製鉄所にある LD(BOF)転炉1 号基の更新工事を受注したと発表した。

 今回の受注は、2018 年 5 月に稼働を開始した転炉 2 号基の更新工事に続くもので、近代化される転炉 1 号基は、2020 年 3 月に稼働開始の予定。今回は同時に 2 号基へのスラグ保持システム「バイコンストッパー(Vaicon Stopper)」の設置工事も受注した。同システムの導入実績は世界で 150 基目となる。このバイコンストッパーによって、出鋼時に取鍋へのスラグ流出が最小限に抑えられて鋼質が向上すると共に、スラグ形成剤と脱酸剤の消費量が減って、運転コストも大幅に低減する。

 チリ中部のタルカワノに拠点をおく CAP ACERO 社は 1950 年に設立され、鉱物資源業界と建設業向け条鋼が主要製品で、線材も生産している。

 1 号基の更新工事は、完工した 2 号基と同様の各種投入技術、工事範囲が計画されている。1 号基の出鋼量は 100 トンで、処理容量が増大するため、冶金プロセスが改善される。炉体とトラニオンリングの支持装置には、メンテナンスフリーのサスペンションシステム(Vaicon Link 2.0)が使用される。

 この柔軟かつ堅牢な支持装置は、熱変形による応力を最小限に抑えるとともに、負荷を均一に保ち、長期の耐用年数を実現する。また、傾動装置には新型のベアリングが装備される。

 1 号基の更新工事については、PT社主導の下、チリ・サンティアゴの VAPOR 社(VAPOR Industrial)の協力を得て実施される。PT社は、新設される転炉機器の炉体とトラニオンリングの詳細エンジニアリングを含む計画と設計、支持装置(Vaicon 2.0)とトラニオンおよびベアリングの供給に加え、組立エンジニアリング、既存炉の解体及び新転炉の再組立指導、顧客の運転オペレーター及び保守要員のトレーニングも担当する。VAPOR 社は、本転炉用の各機器の製造と輸送を担当する。

 2 号基については、空気圧式スラグ保持システム「バイコンストッパー(Vaicon Stopper)」を 2019 年春に設置予定で、最終的な性能値は主に炉体のサイズで決まるが、取鍋へのスラグの流出をトン当たり 2~3 キログラム程度まで大幅に削減することが可能になる。この流出スラグ削減によりスラグに含まれるリン流入が抑えられ、注入取鍋内の鋼質の改善、取鍋炉の運転効率化のための消耗品添加量の減少という 2つの大きなメリットを製鋼工程にもたらす。

 スラグ保持システムには、出鋼終了時のスラグ流出を素早く確実に検出する赤外線カメラ式スラグ検知装置(Slag Mon)、出鋼口を空気圧作動で塞ぐ空気圧式スラグストッパーユニット、ならびに供給装置が含まれている。バイコンストッパーは転炉にクイック交換装置で取付けられ、ユニット全体が簡単に交換できるため、生産に影響を及ぼすことなく工場内でオフラインのメンテナンスが可能になる。

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