国際協力銀行(JBIC)、タイGulf SRCガス焚複合火力発電事業に対するプロジェクトファイナンス

・質高インフラ環境成長ファシリティの一環として、同国におけるIPPプロジェクトへの日本企業による参画を支援

 国際協力銀行(JBIC)は11月9日、11月2日、「質高インフラ環境成長ファシリティ」(以下「QI-ESG」*1)の一環として、三井物産が出資するタイ法人Gulf SRC Company Limited(以下、GSRC)との間で、同国Gulf SRCガス焚複合火力発電事業を対象として、融資金額約227百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*2による貸付契約を締結したと発表した。この融資は、アジア開発銀行(ADB)、タイ輸出入銀行(EXIM Thailand)、みずほ銀行、三井住友信託銀行及びタイ地場銀行*3との協調融資によるもので、協調融資総額は約1,299百万米ドル。(参考:三井物産ニュースリリース

 同プロジェクトは、GSRCが、タイ東部チョンブリ県及びラヨーン県にまたがるヘマラート工業団地において、発電容量2,500MW(625MW×4系列)のガス焚複合火力発電所を建設・所有・運営し、タイ国営電力公社(Electricity Generating Authority of Thailand)に対して25年間にわたり売電するもの。

 日本政府は、2018年6月に改訂した「インフラシステム輸出戦略」において、インフラの設計・建設・運営・管理を含むシステムの受注や現地での事業投資の拡大の推進を表明している。加えて、2017年10月に発表した「海外展開戦略(電力)」においても、日本企業が実施する海外発電事業を政策の重点分野と位置付け、JBICのファイナンス支援の効果的活用等による支援を行う旨を表明している。

 今回の融資はこれらの政府の施策に合致するものであり、日本企業が出資者として事業参画し、長期に亘り運営・管理に携わる海外インフラ事業を金融面から支援することで、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するもの。

 タイの電源開発計画によると、同国の電力需要は2036年まで年平均約3.9%で増加する見通しである中、本プロジェクトは主要なベースロード電源として同計画に位置付けられている。また同プロジェクトは、タイ政府の経済政策の柱である「タイランド4.0」政策や東部経済回廊構想実現に必要となる電力供給源となる予定であり、タイに進出している日系企業に対する電力の安定供給の観点からも有意義なプロジェクトであることから、タイのインフラ基盤整備に寄与するとともに、日本企業の海外における経済活動にも幅広く貢献するもの。

注釈

*1: JBICは2018年7月1日にQI-ESGを創設した。このファシリティは、省エネルギー分野を含め、地球環境保全目的に資するインフラ整備を幅広く支援することを目的としている。詳細は、2018年6月28日付お知らせを参照。

*2:プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュフローに限定する融資スキーム。

*3 :タイ法人The Siam Commercial Bank Public Company Limited、同Bangkok Bank Public Company Limited、同Bank of Ayudhya Public Company Limited、同TMB Bank Public Company Limited、同CIMB Thai Bank Public Company Limited、同Land and Houses Bank Public Company Limited及び同Industrial and Commercial Bank of China (Thai) Public Company Limited。

 ニュースリリース