川崎重工業が10月30日に発表した2019年3月期第2四半期(4~9月)連結業績によると、受注高は前年同期比529億円増加の7,198億円、売上高は前年同期比216億円減収の6,881億円、営業利益は前年同期比76億円減益の84億円、経常利益は前年同期比149億円減益の2億円、親会社株主に帰属する四半期純損益は前年同期比144億円減益の35億円の損失となった。
4~9月期における受注高は、エネルギー・環境プラント事業を中心に増加となった。売上高は、精密機械・ロボット事業などが増収となる一方で、航空宇宙システム事業、車両事業などが減収となったことにより、全体では前年同期比で減収となった。
営業利益は船舶海洋事業の改善はあったものの、車両事業、航空宇宙システム事業などが減益となったことにより、全体で減益となった。経常利益は営業利益の減益に加え、民間航空エンジンの運航上の問題に係る負担金などで、減益となった。親会社株主に帰属する四半期純損益は、経常利益の減益により、減益となった。
<航空宇宙システム事業>
航空宇宙システム事業を取り巻く経営環境は、防衛省向けについては、厳しい防衛予算の中で一定程度の需要が存在している。民間航空機については旅客数の増加に伴って機体・エンジンともに需要が増加している。
連結受注高は、防衛省向けが減少したものの、民間航空機向け分担製造品が高水準を維持したことや、民間航空エンジン分担製造品が増加したことにより、前年同期に比べ34億円増加の2,011億円となった。
連結売上高は、民間航空エンジン分担製造品が増加したものの、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品が減少したことにより、前年同期に比べ223億円減収の2,102億円となった。
営業利益は、民間航空エンジン分担製造品の新規プログラム開発費償却負担増加などにより、前年同期に比べ62億円減益の94億円となった。
<エネルギー・環境プラント事業>
エネルギー・環境プラント事業を取り巻く経営環境は、海外では原油価格の上昇により資源開発や石油・天然ガス関連投資が回復基調にあることに加え、アジアではエネルギーインフラ整備需要が継続している。また環境・省エネルギー投資意欲の向上などにより、分散型電源の需要が増加している。国内ではごみ焼却プラントや産業機械において老朽化設備等の更新需要が継続している。一方で分散型電源は、潜在的需要は大きいものの、電力自由化を睨んで投資計画が若干遅れ気味になっている。
連結受注高は、国内向けLNGタンクや国内向けコンバインドサイクル発電プラントを受注したことなどにより、前年同期に比べ300億円増加の1,467億円となった。
連結売上高は、海外向け化学プラントの工事量減少があったものの、エネルギー事業の工事量増加などにより、前年同期並みの1,039億円となった。
営業利益は、エネルギー事業での採算改善などにより、前年同期に比べ20億円増益の22億円の営業利益となった。
<精密機械・ロボット事業>
精密機械・ロボット事業を取り巻く経営環境は、建設機械市場向けでは中国での旺盛なショベル需要を中心に活況を呈しており、川崎重工の顧客である建機メーカーは競って増産を進めている。ロボット市場向け需要は、中国をはじめ他の新興国、先進国において堅調に推移しているが、半導体メーカーの設備投資抑制や米中貿易戦争によるマーケット縮小等のマイナス材料があり、先行きに不透明感がではじめている。
連結受注高は、建設機械市場向け油圧機器や各種ロボットの増加により、前年同期に比べ123億円増加の1,048億円となった。
連結売上高は、建設機械市場向け油圧機器や各種ロボットの増加により、前年同期に比べ152億円増収の1,021億円となった。
営業利益は、増収により前年同期に比べ5億円増益の96億円となった。
<船舶海洋事業>
船舶海洋事業を取り巻く経営環境は、新造船価の緩やかな回復基調や環境規制強化に伴うガス燃料推進船需要の顕在化がある一方で、LNG開発プロジェクトの遅れによるLNG運搬船需要の後ろ倒し、中国・韓国政府による造船業支援政策の継続などにより、依然として競争が厳しい状況にある。
連結受注高は、LNGバンカリング船を受注したことなどにより、前年同期並みの165億円となった。
連結売上高は、LNG運搬船とLPG運搬船の構成変動等により、前年同期に比べ53億円減収の397億円となった。
営業損益は、減収があったものの、建造コストの改善などにより、前年同期に比べ64億円改善して12億円の営業利益となった。
<車両事業>
車両事業を取り巻く経営環境は、国内については老朽化車両の更新需要が安定的に存在している。海外については、米国では注力市場であるニューヨーク地区をはじめ新造・更新需要が増加しており、またアジアでは日本政府によるインフラ輸出促進に伴って新興国での需要が増加している。
連結受注高は、米国向け車両・改造工事を受注したものの、バングラデシュ向け都市高速鉄道車両を受注した前年同期に比べ78億円減少の605億円となった。
連結売上高は、米国など海外向けが減少したことなどにより、前年同期に比べ182億円減収の454億円となった。
営業損益は、米国向け案件における採算の悪化などにより、前年同期に比べ79億円減益の88億円の営業損失となった。
<モーターサイクル&エンジン事業>
モーターサイクル&エンジン事業を取り巻く経営環境は、二輪車では主に欧州において市場の緩やかな成長が持続しており、新興国向けでも市場の底打ちの兆しが見えつつある。また、四輪車では主に北米において市場が安定した成長を続けており、汎用エンジン市場も堅調に推移している。
連結売上高は、先進国向け二輪車や四輪車の増加により、前年同期に比べ74億円増収の1,444億円となった。
営業損益は、売上は増加したものの、販管費や販促費の一時的な増加や米国における鋼材等資材価格の上昇などにより、前年同期に比べ25億円減益の46億円の営業損失となった。
<その他事業>
連結売上高は、前年同期に比べ36億円増収の421億円となった。営業利益は、前年同期並みの10億円となった。
■2019年3月期の見通し
2019年3月期の連結業績については、連結売上高、連結営業利益、連結経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は前回(10月19日)公表値を据え置いた。
連結受注高は、エネルギー・環境プラント事業で減少が見込まれるものの、航空宇宙システム事業及びモーターサイクル&エンジン事業で増加が見込まれることから、前回公表値(7月31日)から200億円増加の1兆6,100億円、ROICは5.9%、ROEは6.5%となる見通し。
なお、業績見通しにおける為替レートは、1ドル=110円、1ユーロ=130円を前提としている。
*前年同期との比較等は当該企業の表記を採用しています。
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