アステラス製薬、約290億円投じて日米3カ所で研究開発・製造施設を建設

 アステラス製薬は10月31日、約290億円を投じ、新たなモダリティ(治療手段)とテクノロジー(基盤技術)を活用した新薬開発のための研究開発・製造施設を日本と米国で建設すると発表した。

 アステラス製薬は、最先端の科学に基づき、創薬標的を見出し、さまざまな疾患に応用可能なモダリティ/テクノロジーと組み合わせることで、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出を目指している。

 これまで数多くの新薬を創製してきた低分子化合物だけでなく、抗体医薬のほか細胞医療、次世代型ワクチン、遺伝子治療などの新しいモダリティを活用した新薬の研究開発に取り組んでいる。

 こうした取り組みを通じて、現在、臨床試験および臨床試験前の段階に複数の開発プログラムが進んでおり、これらの今後の進展と将来の商業化を見据え、国内外において研究開発施設、治験薬の製造や商業用の初期生産を担う製造施設を建設する。

■新たな研究開発・製造施設の詳細は以下の通り。

<バイオ原薬棟(仮称)の建設(日本)>

 アステラス製薬の生産子会社であるアステラス ファーマ テック㈱の富山技術センター富山市)内に建設する「バイオ原薬棟(仮称)」は、日本、米国、欧州向けの治験用および商業用抗体の製造が可能であるとともに、細胞医療などの他のモダリティにも対応できる製造設備。

 地上4階建て、延床面積約8,000㎡のバイオ原薬棟の建設により、治験用および商業用バイオ原薬の製造能力が大幅に増強され、今後の状況変化にも柔軟に対応できるグローバル供給体制が整うことになる。

 総工費は約100億円で2018年11月着工、2019年9月中の完成を予定している。

<マルチ治験薬棟(仮称)の建設(日本)>

 アステラス製薬のつくばバイオ研究センター(茨城県つくば市)内に建設する「マルチ治験薬棟(仮称)」は、日本、米国、欧州向けの遺伝子治療や細胞医療の開発を目的とした臨床初期治験薬(第I相試験~第II相試験)を製造するための設備。

 地上2階建て、延床面積約1,800㎡のマルチ治験薬棟の建設により、複数のモダリティの開発プログラムの進展状況に応じた柔軟かつタイムリーな治験薬の供給が可能となることから、開発から上市までの期間短縮が期待できる。

 総工費は約50億円で、2018年9月に着工しており、2019年3月中の完成を予定している。

<AIRMの移転とリノベーション(米国)>

 アステラス製薬の子会社で再生医療や細胞医療の研究開発の拠点であるアステラス インスティチュート フォー リジェネレイティブ メディシン(Astellas Institute for Regenerative Medicine、以下「AIRM」)は、AIRMが現在本社を置く米国マサチューセッツ州内の新たな施設(地上2階建て、延床面積約24,000㎡)に移転するとともに、同施設のリノベーションを行う予定。今回の施設の移転とリノベーションによって、再生・細胞医療分野における研究開発のスピードアップを図るだけでなく、製造設備を増強することで円滑な治験薬の供給が可能となる。また、当該施設は今後の開発の進展を見据え、商業用生産にも対応できる設計となっている。

 総工費は約140億円で、2018年9月に着工しており、2020年1月中の完成を予定している。

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