国際協力銀行(JBIC)、インドネシア共和国ジャワ1Gas-to-Powerプロジェクトに対するプロジェクトファイナンス

・質高インフラ環境成長ファシリティのフラッグシップ案件としてアジア初となるGas-to-Power事業向けプロジェクトファイナンスによる日本企業の参画を支援

 国際協力銀行(JBIC)は10月22日、18日に「質高インフラ環境成長ファシリティ」(以下「QI-ESG」)の一環として、丸紅、双日、インドネシア国営石油会社PT. Pertamina (Persero、プルタミナ)が出資するインドネシア法人PT Jawa Satu Power(以下、JSP)及び丸紅、双日、㈱商船三井、プルタミナ他が出資するインドネシア法人PT Jawa Satu Regas(以下、JSR)との間で、同国ジャワ1Gas-to-Powerプロジェクトを対象として、融資金額約604百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結したと発表した。融資は、みずほ銀行、三菱UFJ銀行等との協調融資。民間金融機関の融資部分に対しては日本貿易保険(NEXI)による保険が付保される。協調融資総額は約1,312百万米ドル。

 このプロジェクトは、インドネシア西ジャワ州において発電施設とガス関連施設を一体として開発する、いわゆるGas-to-Powerプロジェクト。具体的には、JSPが発電容量1,760MWのガス焚き複合火力発電所を建設・所有・操業すると共に、JSRが洋上で発電用燃料となる液化天然ガス(以下、LNG)を貯蔵・再ガス化するための浮体式貯蔵気化設備(Floating Storage and Regasification Unit、以下「FSRU」)を建造・所有・運営し、25年間に亘りインドネシア国営電力公社(PT PLN(Persero))に対して売電する計画。

 日本政府は、2018年6月に改訂した「インフラシステム輸出戦略」において、インフラの設計・建設・運営・管理を含むシステムの受注や現地での「事業投資」の拡大の推進を表明している。加えて、2017年10月に発表した「海外展開戦略(電力)」においても、日本企業が実施する海外発電事業を政策の重点分野と位置付け、JBICのファイナンス支援の効果的活用等による支援を行う旨を表明している。

 今回の融資はこれらの政府の施策に合致するものであり、日本企業が出資者として事業参画し、長期に亘り運営・管理に携わる海外インフラ事業を金融面から支援することで、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するもの。

 また、融資の対象となるGas-to-Powerプロジェクトは、第36回経協インフラ戦略会議(2018年4月10日開催)において、我が国の取り組むべき海外プロジェクトの一つとされている。日本政府はアジアにおけるLNG利用拡大の支援を表明しており、日本企業がLNGの貯蔵・再ガス化に関与する本プロジェクトはこうした日本政府の施策に合致するもの。今回の案件は、Gas-to-Power事業向けのプロジェクトファイナンス案件としてはアジア初であり、JBICとしても初の融資となる。

 JBICは2018年7月1日にQI-ESGを創設した。このファシリティは、再生可能エネルギー分野も含め、地球環境保全目的に資するインフラ整備を幅広く支援することを目的としている。今回の融資はQI-ESGの下で地球環境保全目的に資するインフラ整備を支援するフラッグシップ案件であり、アジア初*3の案件となる。

 加えて、同プロジェクトは、米国General Electric Company社製のガスタービン等を採用しており、2018年4月23日に開催された第2回日米第三国インフラ協力官民ラウンドテーブルにおいても、日米インフラ協力案件の一つとして発表されている。

 インドネシアでは安定した経済成長により電力需要が増大している状況も踏まえ、同国政府は今後10年間で56GWの追加電源開発を行う計画であり、同プロジェクトも同計画に含まれている。ガス火力発電については、電力安定供給のためのミドル電源として重要視しており、総電源に占める割合は20%超を維持する方針であり、同プロジェクトはこうしたインドネシア政府の電力政策に適うもの。

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