栗田工業、米国の精密洗浄会社を子会社化へ、まず株式25%を約56億円で取得

・電子産業分野での市場競争力を強化

 栗田工業は10月16日、米国で精密洗浄事業を展開しているPentagon Technologies Group, Inc.(本社:カリフォルニア州ヘイワード)の株式取得に関する契約を締結したと発表した。出資金額は5,000万ドル(約56億円)で、発行済株式の25%を取得することで同社は栗田工業の持分法適用会社となる。今後は残り株式についても取得を進め、子会社化していく方針。

 栗田工業グループは、日本、アジア、欧州、北南米の世界4極体制の確立により、海外事業の飛躍的拡大を目指しており、今回の出資は戦略市場である米国での事業強化の一環。また、重点事業領域の一つと位置付ける電子産業分野において、海外におけるサービス事業の基盤を獲得して市場競争力をより一層強化するとともに、Pentagon Technologies社の最先端洗浄技術およびノウハウを取得し、栗田工業グループが展開する国内精密洗浄事業とのシナジーを創出することで、事業成長のさらなる加速と新たな価値提供の実現を目的としている。

 精密洗浄は、半導体製造プロセスで使用する装置等に付着した微粒子やイオン状物質を除去する洗浄サービスだが、極めて高い清浄度が求められるため、安定的な製品の製造に支障がないレベルまで除去するには非常に高度な技術が必要となる。半導体デバイスの小型化(微細化)と生産拠点のグローバル化が急速に進展する中で、製品の歩留り向上や製造コストの削減に寄与する精密洗浄技術の重要性は一段と増しており、栗田工業では、精密洗浄事業についても、顧客の技術の進化に対応し、グローバルな事業展開を推進するための体制強化を図ることにした。

 1998年に創業し、米国カリフォルニア州に本社を構えるPentagon Technologies社は、テキサス州やオレゴン州、ニューヨーク州などに精密洗浄工場および開発・サービス拠点を有し、米国を中心に、約20年にわたり精密洗浄事業を展開してきた。最先端の洗浄技術(*)の開発、ならびに顧客の製品品質の向上と環境負荷低減に寄与する独自の洗浄方法(*)を追求してきた同社は、米国に製造拠点がある大手半導体メーカーおよび半導体製造装置メーカー向けのサービス提供に注力しており、半導体製造装置のリーディングカンパニーより「認定洗浄工場」の指定を受けるなど、半導体精密洗浄市場で確固たる顧客基盤を確立し、世界的にトップクラスのシェアを有している。

 栗田工業グループでは現在、クリテックサービス(本社:大阪市中央区)が精密洗浄事業を展開しているが、両社の技術・サービスを融合し、精密洗浄のグローバルサプライヤーとして付加価値の高いソリューションを提供することで、顧客親密性をさらに高め、継続的な成長と海外での新たな市場開拓を目指す。また、米国においては栗田工業グループの海外事業会社との協働により、さらなる事業領域の拡大を図っていく。

(*)Pentagon Technologies社は、各種製造装置の種別(新品や既存品)や、汚れ方等に応じた、最適な洗浄技術・洗浄方法を有している。特に、新規製造装置を対象とした洗浄に関わる豊富な実績・ノウハウを持ち、半導体製造装置表面微粒子の測定機の開発、クリーンルーム関連サービス提供と併せて、お客様の工場における生産性向上や環境負荷低減の実現に貢献している。

<Pentagon Technologies社の概要>

社名:Pentagon Technologies Group, Inc.

設立:1998年

売上高:2017年実績:84.8百万USドル(約93億円・130円計算)

本社所在地:米国カリフォルニア州

事業内容:精密洗浄事業、半導体製造装置表面微粒子の測定機の開発、クリーンルーム関連コンサルティングサービスなど

従業員数:約700名

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