JUKIと日立、IoT活用によるプリント基板生産ラインの最適化に向けて協創開始

・設備データを活用し、変種変量生産を最適化するソリューションを開発

 JUKI㈱日立製作所は10月15日、電子機器の主要部品となるプリント基板の生産において、IoTを活用した生産ラインの最適化に向け、本格的に協創を開始したと発表した。

 協創の第一弾として、マウンタ(*1)や自動倉庫といったJUKIの電子・産業装置の開発・製造技術と、日立の大みか事業所(茨城県日立市)で培った高効率生産モデルや運用ノウハウなど、両社の強みを融合し、設備データを活用して変種変量生産を最適化する「プリント基板生産最適化ソリューション」を、新たに開発した。

 JUKIは、開発したソリューションを、実装統合システム「JaNets(ジャネッツ)(*2)」と連携するソリューションとして取り扱いを開始し、JUKIの電子基板製造装置ユーザー向けに提供を行う。

 なお、開発したソリューションは、㈱日立産業制御ソリューションズ)がソフトウェアの提供およびシステム構築、導入エンジニアリングまでトータルでサポートする。

 工業用ミシンで世界トップシェアを誇るJUKIは、電子機器に組み込まれるプリント基板生産ライン向けに、マウンタをはじめとする各種基板製造装置ならびに基板検査装置、自動倉庫などをグローバルに提供している。工場のスマート化が進む中、実装統合システム「JaNets」を立ち上げ、工場全体における自動化や省人化、効率化を実現するソリューションの強化に取り組んでいる。

 日立は、これまで、情報制御機器・システムを多品種少量で設計・製造する大みか事業所において、現場の課題解決と全体最適化の実現に向けて、IoTを活用した高効率生産モデルを確立し、大みか事業所に導入したこれらの技術を活用・汎用化して、さまざまな顧客との協創を進めてきた。

 JUKIと日立は、2018年2月から、両社の有する製品やOT(*3)、ITの技術・ノウハウをもとに、IoTによる生産改革に関する取り組みを開始し、日立の大みか事業所をフィールドに、設備データの活用によるプリント基板生産の効率化・高品質化に関する検証を行ってきた。

 また、JUKIの生産子会社であるJUKI産機テクノロジー(秋田県横手市)においても重ねて効果を検証し、試験導入後1カ月で生産性を30%向上(*4)するなど効果を得たことから、今回日立は本成果をソリューション化した。

*1 マウンタ:電子部品をプリント基板に配置する装置のこと。表面実装機(Surface Mounter)とも呼ばれる。

*2 JaNets(JUKI advanced Network system):スマート工場への変革を支援する「JUKI Smart Solutions」を実現するためのシステムの総称であり、基板製造工場だけでなく縫製工場など、JUKIのお客さま工場の生産性や管理レベルの向上に結びつけるシステム。

*3 OT(Operational Technology): 運用・制御技術

*4 「生産進捗実績管理」「稼働実績分析」ソフトウェア導入後の効果検証。

 ニュースリリース(JUKI)

 ニュースリリース(日立製作所)