川崎重工、米国工場でボーイング社向け民間旅客機用貨物扉を完成

 川崎重工業は9月18日、ボーイング社の民間旅客機用の貨物扉を、米国・ネブラスカ州の現地法人Kawasaki Motors Manufacturing Corp.,U.S.A.のリンカーン工場で初めて完成させたと発表した。また同日(現地時間17日)、リンカーン工場ではこれを記念して出荷式を行い、ボーイング社の関係者やネブラスカ州知事などをはじめとする約80名が出席した。

 川崎重工は、2017年5月に川崎重工初となる米国の航空機部品製造拠点として、リンカーン工場内にボーイング777Xおよび777用貨物扉の製造ラインを設置し、9月18日、最初の貨物扉を完成させた。

 完成したボーイング777用の貨物扉は、縦2.6m、横3mのアルミ合金製で、ボーイング社のエバレット工場(ワシントン州)に出荷される。今後リンカーン工場では、ボーイング社の最新鋭民間旅客機であるボーイング777X 用貨物扉の製造を進め、2019年2月から出荷を開始する予定。

 リンカーン工場の航空機部品製造ラインでは、繊細かつ正確な塗装が可能な川崎重工製塗装ロボットや、打鋲の対象範囲が拡大したオートリベッター(自動打鋲機)などの最新鋭設備を活用した自動化を推進している。また、長年の量産品事業で培ってきたKPS(カワサキ・プロダクション・システム)の適用により、高品質かつ効率的な生産体制を構築するとともに、米国産の資材・部品の現地調達等により、輸送費やリードタイムの削減に取り組んでいる。さらに、2017年2月に名古屋第一工場内に新設した777X 組立工場(ボーイング777X 用の前部胴体や中部胴体の製造を担当)と同様に、将来のスマートファクトリー化に向けたICT/IoTなどのインフラ整備も計画している。

 川崎重工は、今回の貨物扉製造を契機に、航空機用部品の主要な納入先である米国の製造拠点として、リンカーン工場を成長させ、民間航空機事業の一層の発展に向け取り組んでいく。

■KPS(カワサキ・プロダクション・システム):安定した品質確保のために誰が行っても同じ品質が確保できる標準作業と、その標準作業を守る職場規律を確立することを目指す川崎重工独自の生産管理技法。

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