・機動性に富み小回りの利く組織で“ホームドクター”を目指す
三菱日立パワーシステムズ(MHPS、本社:横浜市西区)は8月31日、国内の火力設備事業のうち蒸気を再加熱しない産業用の非再熱(注)火力設備事業全体を、2019年1月1日付でMHPS100%出資の三菱日立パワーシステムズインダストリー(MHPS-IDS、社長:牧浦 秀治、本社:横浜市中区)に吸収分割契約により移管する方針を決定したと発表した。産業用顧客の様々な課題解決に向けたソリューション提供において、MHPS-IDSの機動性を活用していくのが狙い。
産業用火力設備は、製鉄所や化学工場の副生ガス、製油所の石油残渣、製紙工場の廃液などを燃料とするボイラーとタービン発電機などの機器で構成される。これらには高度成長期の1970年代から稼働しているものが多く、顧客が設備を運用するにあたっても、老朽化、環境対応、エネルギーバランスの最適化、ベテランの退職などの課題を解決する必要性が高まっている。また、CO2削減の世界的な広がりを受けて、環境負荷の低いバイオマス火力設備の需要が高まっており、多数の建設計画がある。
MHPSはこうした状況を踏まえ、非再熱火力設備を対象とした国内中小型産業用事業のEPC(設計・調達・建設)遂行機能を2017年度にMHPS-IDSに移管し、同社との共同事業化を実施。今回、さらにMHPS-IDS の担当範囲を受注営業から納入後のサービスまで広げて、迅速な取りまとめ能力とトータルソリューション機能を強化し、“ホームドクター”として多様な顧客ニーズに的確に応えていく。
MHPSは、エネルギーに関わる課題解決の手段として、AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)を駆使したMHPS-TOMONI®などのデジタルソリューションや、火力設備に関連する様々な機器・新技術を組み合わせた提案を進めている。事業移管後もMHPS-IDSのホームドクター機能とあわせて、MHPSグループとして産業用火力設備を保有する顧客の様々な課題を解決していく。
(注)非再熱サイクルは、再熱サイクルに対置される方式。再熱サイクルとは、高圧タービンから出た蒸気をボイラーの再熱器で熱して、次の中低圧タービンに送る仕組みで、再熱しない方式が非再熱サイクル。多種・多様な燃料を利用するとともに、蒸気と熱を生産プロセスに利用する産業用コージェネレーション設備では、経済効率が高く地球環境にも優しい非再熱サイクルの火力設備が多く導入されている。