JOLED、印刷方式有機ELディスプレイを2020年から量産、第三者割当増資で4社から総額470億円調達

 有機ELディスプレイを開発・製造・販売する㈱JOLED(ジェイオーレッド、本社:東京都千代田区)は8月23日、印刷方式有機ELディスプレイ量産のため、㈱デンソー豊田通商住友化学㈱SCREENファインテックソリューションズ(本社:京都府京都市)を引受先とする第三者割当増資により、総額470億円の資金調達を実施したと発表した。出資者側の発表では、デンソーが300億円、豊田通商100億円、住友化学50億円、SCREENファインテックソリューションズが20億円。

 JOLEDの有機ELディスプレイは、㈱ジャパンディスプレイとの協力関係のもと、石川県能美市のJOLED能美事業所で2020年より量産を行う計画。JOLEDは、変化が激しいディスプレイ業界において時機をとらえ迅速に量産を開始するため、今回調達した資金により、世界初の印刷方式有機ELディスプレイ量産ラインの構築を進めるとともに、今後も適宜必要となるタイミングで資金調達を行っていく。

 JOLEDは、今回の第三者割当増資による新たな株主4社を加えた新ガバナンス体制のもと、共同開発や業務提携、販路開拓などにおいて株主との協業を一層強化し、印刷方式有機ELディスプレイの事業化を加速していく。

 具体的には、自動車関連機器の開発・生産を行うデンソーとは、車載向けディスプレイの開発や事業展開において協力していくほか、総合商社としてさまざまな産業分野に広がるグローバルネットワークを持つ豊田通商からは、幅広いディスプレイ製品の販売において強力なサポートを受ける。有機EL材料の開発・供給においてこれまでも協力関係にある総合化学メーカーの住友化学とは、今後協力体制を一層強化する。ディスプレイ製造装置と関連サービスを提供するSCREENファインテックソリューションズとは、印刷設備の開発・製造・販売・サービスの展開において協力していく。

 JOLEDは、世界初のRGB印刷方式による有機ELディスプレイの製品化を実現した研究開発力と製造ノウハウをもって、量産ラインの早期立ち上げと効率生産を実現し、有機ELディスプレイ市場においてJOLEDディスプレイの浸透を図るとともに、先進のデバイスにより「ワクワク」と「感動」にあふれる世界を実現するというミッションに向け、有機EL分野におけるリーディングカンパニーを目指して挑戦し続ける。

■JOLEDについて

 ㈱JOLEDは、東京に本社を置き、石川、京都、厚木の技術開発センターを拠点に、有機ELディスプレイならびにその部品、材料、製造装置および関連製品の研究、開発、製造および販売を行う会社。JOLEDは、有機ELディスプレイの量産開発加速および早期事業化を目的として、ソニー、パナソニックの有機ELディスプレイの開発部門を統合し、2015年1月に設立された。

 2016年にパイロットラインを立ち上げ、印刷方式による有機ELディスプレイ量産技術の確立と生産性の向上を実現。2017年12月に初の製品である21.6型4K有機ELディスプレイの出荷を開始した。更なる事業拡大のため、2018年7月、石川県能美市に能美事業所を開設。印刷方式有機ELディスプレイの世界初となる量産ラインの構築を進めており、2020年の量産開始を目指している。

■印刷方式 有機ELディスプレイについて

 有機ELディスプレイ(OLED)は、シンプルな構造、薄型・軽量という特徴を持ち、高い画質性能を実現可能な次世代ディスプレイとして注目を集めている。

 有機ELディスプレイの製造方法のひとつである「印刷方式」は、有機EL材料を印刷により塗布・形成する技術で、生産工程がシンプルであることから、多様な画面サイズへの展開が容易な技術として期待されている。JOLEDは、現在主流となっている蒸着方式では製造が難しいとされる、中型サイズの有機ELディスプレイ市場において、JOLEDの印刷方式有機ELディスプレイの浸透を図っていく。

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