村田製作所、約50億円投じてフィンランドに新工場、MEMSセンサの生産能力を拡大

 ㈱村田製作所は8月20日、開発・生産子会社であるMurata Electronics Oyが、MEMSセンサの生産能力を拡大するため、約50億円を投じてフィンランドのヴァンターに新工場を建設すると発表した。

 MEMSセンサとは、微小電気機械システムをベースにしたセンサ。村田製作所は、3次元MEMSプロセスを用いた高性能で信頼性の高い加速度センサ、ジャイロセンサ、傾斜角センサをMuarta Electronics Oy社 (旧VTI)で開発・生産し、グローバルに販売している。

 Murata Electronics Oyは、これまで駐車場として利用していた土地を活用し、総投資額50億円、延床面積約1万6,000㎡の新生産棟を建設し、2019年末の完成を目指す。現在、自動車業界など様々な医療用途や産業用途に用いられるMEMSセンサの世界的な需要の高まりに応えていく。

 これにより、2018年から2019年にかけて、現地で新たに150人から200人程度の雇用創出を見込んでいる。同社がフィンランドで製造するMEMSセンサは、自動車の安全運転支援システムや心臓ペースメーカーなどの用途に用いられている。

 Murata Electronics Oy, Managing Directorの早田 雄一郎氏は次のように述べている。

 「先進運転支援システムや自動運転、医療分野など、先端技術を必要としている市場が、今後大きく成長していくと予想されています。ムラタのMEMSセンサはこうした市場において重要なソリューションであり、厳しい環境下でも確かな測定精度と安定性をお届けします。」

 また、㈱村田製作所モジュール事業本部センサ事業部長の川島 誠氏は以下のように述べている。

 「Murata Electronics Oyは2012年にムラタグループの一員となり、デバイスの小型化、高精度化、高機能化を実現する高信頼性MEMSセンサの商品ラインアップを拡充してきました。新生産棟の建設によりMEMSセンサの増産体制を整え、需要が高まっている安全運転支援や今後の成長が期待される自動運転をはじめとする車載分野、産業分野、ヘルスケア分野などでのジャイロセンサ、加速度センサ、コンボセンサの旺盛な需要に応えていきます。投資を通じてこれらの分野での事業基盤の強化だけでなく、フィンランドの経済および雇用に貢献していきます。」

<新生産棟の概要>

規模:地上5階  

建設予定地:Murata Electronics Oy 駐車場エリア

延床面積:16,000㎡

工事期間:着工2018年8月、竣工2019年末予定

総投資額:50 億円(建物のみ)

<Murata Electronics Oy>

所在地:Myllynkivenkuja 6, FI-01621 Vantaa, Finland

設立:1991年

資本金:54万7千ユーロ

代表者:早田 雄一郎

従業員数:約1,000人(2018年8月日時点)

■Murata Electronics Oyについて

 Murata Electronics Oyは日本のムラタグループに属する会社。ヴァンターに拠点を置き、主に自動車の安全上重要な用途、ならびに医療・産業用途の3D MEMS(微小電気機械システム)センサの開発と生産を担っている。同社はフィンランドで1,000人を雇用している。

 村田製作所は2012年にフィンランドのVTI Technologies(現Murata Electronics Oy)を買収した。同社は、村田製作所の海外で唯一のMEMSセンサ製造拠点であり、過去10年間に飛躍的な成長を遂げている。フィンランドのこの拠点には研究開発エリアもあり、同国で最大規模のクリーンルーム設備も設置されている。

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