川崎重工、自社開発の発電出力100MW級コンバインドサイクル発電プラントの建設工事を受注

 川崎重工業は8月20日、鹿島南共同発電(本社:茨城県神栖市)から、ガスタービンの最大出力機種である30MW級の純国産高効率ガスタービン「L30A」を用いた自社開発の100MW級コンバインドサイクル発電プラント(以下、CCPP)の建設工事を初受注したと発表した。

 鹿島南共同発電は、鹿島東部コンビナートのエネルギーセンターである鹿島南共同発電所の運営を行う会社で、周辺工場に電気と蒸気を供給している。

 今回の受注は、主要機器である「L30A」ガスタービン3基、排熱回収ボイラ3基および蒸気タービン1基が、全て川崎重工製で構成される発電出力107MWのCCPPを茨城県神栖市に建設するもので、周辺工場からの需要に応じて電気と蒸気をフレキシブルに供給可能なコージェネレーション設備としての機能を併せ持つシステムを採用している。

 川崎重工は、プラント全体の設計、ガスタービン、蒸気タービン、排熱回収ボイラの供給、据付および土木建築からなる建設工事一式をフルターンキー方式で請け負い、2020年夏頃の運転開始を予定している。

 世界の電力使用量は、経済発展が著しい東南アジアを中心に増加していくとともに、従来の天然ガス産出に加えて、米国以外の新たなシェールガス供給国の増加も期待され、これに伴い分散電源として高効率のガス火力発電所の建設需要は拡大している。なかでも、出力が不安定な再生可能エネルギーの利用拡大などを背景に、新規導入や設備更新が進む分散型発電市場においては、高効率な設備や優れた負荷応答性への要求が顕著。川崎重工の標準CCPPの発電効率は、世界最高水準となる55.2%(100MW級、再熱式(※))を達成しており、それらの市場ニーズに応える。

 川崎重工は、今年4月にエネルギー関連事業の強化・シナジー効果の促進を図るため、エネルギー機器の開発、設計、製造を手掛ける部門とプラントエンジニアリング部門を統合する組織改編を行った。その成果である今回の受注を契機として、これまでエネルギー分野で培ってきた技術やノウハウの結集を加速し、さらなる製品技術力の向上とプラントエンジニアリング力の強化に積極的に取り組み、エネルギー関連事業をグローバルに展開していく。

 ※再熱式CCPP:蒸気タービンの途中段から蒸気を取り出して排熱回収ボイラの再熱器で再加熱し、蒸気タービンへ戻すことで出力の向上を図ったもの。

<受注したCCPPの仕様>

ガスタービン発電設備:97MW(L30A×3基)

蒸気タービン発電設備:10MW(1基)

総発電出力:107MW

排熱回収ボイラ蒸発量:合計138t/h

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