川崎重工業が7月31日に発表した2019年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、受注高は前年同期比811億円増加(同29.8%増)の3,537億円、売上高は同84億円増収(同2.5%増)の3,437億円、営業利益は同21億円増益(同44.6%増)の71億円、経常利益は同31億円増益(同7.3%増)の85億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同7億円減益(同21.9%減)の25億円となった。
受注高は、エネルギー・環境プラント事業、車両事業を中心に増加、売上高は、車両事業などが減収となる一方で、精密機械・ロボット事業、モーターサイクル&エンジン事業などが増収となったことにより、全体では前年同期比で増収となった。営業利益は航空宇宙システム事業の減益はあったものの、船舶海洋事業での改善などにより、全体で増益。経常利益は為替差益の改善などで、増益。親会社株主に帰属する四半期純利益は、税金費用の増加により、減益となった。~以下、部門別概況。
航空宇宙システム事業を取り巻く経営環境は、防衛省向けについては、厳しい防衛予算の中で一定程度の需要が存在している。民間航空機については旅客数の増加に伴って機体・エンジンともに需要が増加している。
受注高は、民間航空機向け分担製造品が高水準を維持したことや、民間航空エンジン分担製造品が増加したことにより、前年同期に比べ117億円増加の790億円。売上高は、防衛省向けが減少したものの、民間航空機向け分担製造品が高水準を維持したことや、民間航空エンジン分担製造品が増加したことにより、前年同期並みの1,049億円。営業利益は、民間航空エンジン分担製造品の新規プログラム開発費償却負担増加などにより、前年同期に比べ26億円減益の53億円となった。
<エネルギー・環境プラント事業>
エネルギー・環境プラント事業を取り巻く経営環境は、海外では原油価格の上昇により資源開発や石油・天然ガス関連投資が回復基調にあることに加え、アジアではエネルギーインフラ整備需要が継続している。また環境・省エネルギー投資意欲の向上などにより、分散型電源の需要が増加。国内ではごみ焼却プラントや産業機械において老朽化設備等の更新需要が継続。一方で分散型電源は、潜在的需要は大きいものの、電力自由化を睨んで投資計画が若干遅れ気味になっている。
受注高は、国内向けⅬNGタンクや国内向け産業用ガスタービンを受注したことなどにより、前年同期に比べ406億円増加の939億円。売上高は、海外向け化学プラントの工事量減少などにより、前年同期に比べ25億円減収の510億円。営業損益は、減収があったものの、エネルギー事業での採算改善などにより、前年同期に比べ7億円改善して2億円の営業利益となった。
<精密機械・ロボット事業>
精密機械・ロボット事業を取り巻く経営環境は、建設機械市場向けでは中国での旺盛なショベル需要を中心に活況を呈しており、川崎重工の顧客である建機メーカーは競って増産を進めている。ロボットについては、自動車・半導体分野での需要増に加え、働き手不足を背景とした産業用ロボットの適用分野拡大により、需要が増加している。
受注高は、建設機械市場向け油圧機器や各種ロボットの増加により、前年同期に比べ80億円増加の509億円。売上高は、建設機械市場向け油圧機器の増加や、各種ロボットが高水準を維持したことにより、前年同期に比べ61億円増収の479億円。営業利益は、売上は増加したものの、増産対応費用の増加などにより前年同期並みの45億円となった。
<船舶海洋事業>
船舶海洋事業を取り巻く経営環境は、新造船価の緩やかな回復基調や環境規制強化に伴うガス燃料推進船需要の顕在化がある一方で、LNG開発プロジェクトの遅れによるLNG運搬船需要の後ろ倒し、中国・韓国政府による造船業支援政策の継続などにより、依然として競争が厳しい状況にある。
受注高は、LPG運搬船やジェットフォイルを受注した前年同期に比べ64億円減少の69億円。売上高は、修繕船の工事量増加などにより、前年同期に比べ23億円増収の220億円。営業損益は、増収および建造コストの改善などにより、前年同期に比べ42億円改善して13億円の営業利益となった。
<車両事業>
車両事業を取り巻く経営環境は、国内については老朽化車両の更新需要が安定的に存在している。海外については、北米では注力市場であるニューヨーク地区をはじめ新造・更新需要が増加しており、またアジアでは日本政府によるインフラ輸出促進に伴って新興国での需要が増加している。
受注高は、北米向け車両・改造工事を受注したことなどにより、前年同期に比べ137億円増加の249億円。売上高は、北米など海外向けが減少したことにより、前年同期に比べ57億円減収の233億円。営業損益は、売上は減少したものの、部品・工事の増益などにより前年同期並みの9億円の営業損失となった。
<モーターサイクル&エンジン事業>
モーターサイクル&エンジン事業を取り巻く経営環境は、二輪車では主に欧州において市場の緩やかな成長が持続しており、新興国向けでも市場の底打ちの兆しが見えつつある。また、四輪車では主に北米において市場が安定した成長を続けており、汎用エンジン市場も堅調に推移している。
売上高は、新興国向け二輪車が減少したものの、先進国向け二輪車や四輪車の増加により、前年同期に比べ59億円増収の737億円。営業損益は、売上は増加したものの、販管費の一時的な増加などにより前年同期並みの33億円の営業損失となった。
<その他事業>
売上高は、前年同期に比べ31億円増収の206億円。営業利益は、前年同期並みの3億円となった。
■2019年3月期連結業績予想
2019年3月期の連結業績については、受注高1兆5,900億円、売上高1兆6,500億円、営業利益750億円、経常利益700億円、当期純利益470億円と、4月26日公表値を据え置いた。業績見通しにおける為替レートは、1ドル=107円、1ユーロ=130円を前提としている。
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