日立建機が7月25日に発表した2019年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、売上収益については、特にアジア大洋州・米州・中国・欧州で、新車販売及び部品サービスを中心とするバリューチェーンの双方で増加したことにより、2,402億1,100万円(前年同期増減率13.6%)となった。
利益項目については、売上原価率・販売管理費率の低減を図り、部品サービスとマイニング事業の貢献により、調整後営業利益は275億8,600万円(同64.6%)、営業利益は257億1,700万円(同52.0%)、親会社株主に帰属する四半期利益は157億1,100万円(同64.4%)と大幅に改善した。
日立建機グループは、2017年度からの中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」に掲げる経営施策を推進している。顧客の事業課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト(燃料費・維持費・修理費等を含む費用)低減」に繋がるICT・IoTを活用した解決策を「Solution Linkage」と位置付け、その開発・提供を推進している。
また、従来からの部品サービス事業に加え、2016度に連結子会社化したH-E Parts社、Bradken社のマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業強化の取り組みなど、新車販売以外での収益拡大を図るべくバリューチェーン(新車販売以外の事業である部品サービス、ソリューションビジネス、レンタル等の事業)の深化を推進中。併せて、全世界で顧客や代理店にご満足頂ける体制の強化を推進し、シェア向上、コスト低減を進めるなど、経営の体質強化と効率化に取り組んでいる。
■セグメント業績
<建設機械ビジネス> 第1四半期における油圧ショベル需要は、日本と中近東を除く各地域で前年同期を上回った。日立建機では、顧客の機械管理を総合的に支援する「ConSite(コンサイト)」の全世界展開や、部品供給体制の拡充等により、部品サービス事業の強化を図り、収益構造の改善に努めている。
「ConSite」では、建設機械業界初となる、センサによりオイルの状態を遠隔で検知しエンジンや油圧機器の故障予知を行う「ConSite OIL」や、代理店向けには機械の稼働現場における点検レポート発行・提案活動を支援する「ConSite Shot」等をメニューに加え、顧客のライフサイクルコストの低減に寄与している。日本では、国土交通省が推進するi-Constructionへの対応として、茨城県ひたちなか市及び香川県善通寺市に開設したICTデモサイトでの講習会や、施工プロセスの効率化につながる解決策の提供等、ICT施工の普及に努めている。
マイニング機械需要は、鉱山会社の投資増加を受け、前年同期を大きく上回っている。日立建機では、日立グループの力を合わせて高度な車体安定化制御を実現したリジッドダンプトラックAC-3シリーズの拡販に努めるとともに、鉱山運営の効率化に貢献するマイニング機械の運行管理システムの提供や自律運転技術の開発に積極的に取り組んでおり、現在、オーストラリアのホワイトヘイブン社と協業を進めている。また、顧客により一層高度なレベルで満足してもらえる体制の構築を進め、適切な時期に主要部品の交換提案を行うことにより、部品サービスの売上収益拡大に努めている。
第1四半期の売上収益は2,164億5,800万円(前年同期増減率15.6%)、調整後営業利益は264億400万円(同82.5%)となった。
<ソリューションビジネス> 2016度に連結子会社化した、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken社とサービスソリューションを提供するH-E Parts社で構成されている。
第1四半期の売上収益は、南米等でマイニング機械向けの売上収益が堅調に推移したものの、米ドルと豪ドルの為替の円高影響も受け、241億300万円(前年同期増減率△2.0%)、調整後営業利益は、子会社化に伴う無形資産の償却負担や拠点の統廃合に伴う一時的費用の増加影響などを受け、11億8,200万円(同△48.4%)となった。
*上記、セグメント別の売上収益については、セグメント間調整前の数値。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2019年3月期の油圧ショベルの需要は、第1四半期は好調に推移したものの、第2四半期以降は年度当初の見通しで推移すると見込んでいる。マイニング機械については、引き続き鉱山会社の投資増加が見込まれ、特に超大型のダンプトラックや油圧ショベルの需要も年度当初の見通し通り増加すると見込んでいる。
このような状況の中、日立建機グループでは、部品サービスを中心としたバリューチェーンの拡大や、マイニング事業の強化を通じて、顧客の課題に対する最適な解決策を提供することで競争力の強化を図るとともに、引き続き、原価低減を推進し、経営効率の向上を図っていく。
2019年3月期連結業績予想に関しては、第1四半期の市況は好調に推移したものの、第2四半期以降は貿易摩擦など世界経済が先行き不透明であること、新興国通貨安の傾向なども踏まえ、2018年4月26日の「2018年3月期 決算短信」で公表した連結業績予想を据え置く。
また、その前提となる2018年7月以降の想定為替レートについても、同日の公表値である米ドル100円、ユーロ120円、人民元15.5円を据え置いている。
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