日立造船、国内最大 メガワット級 大型固体高分子型水素発生装置を開発

 日立造船は6月13日、メガワット級の発電施設において余剰電力の貯蔵を可能にする、国内最大となる200Nm3/hの水素を製造できる大型固体高分子型水素発生装置を開発したと発表した。今年度に実証実験を開始し、来年度の販売開始を目指す。

 日立造船は1974年の通商産業省工業技術院(当時)によるサンシャイン計画から一貫して水素発生装置の開発に取り組んできた。2000年には水素発生装置「HYDROSPRING®」の販売を開始し、官庁、研究機関、民間企業向けに生産用や研究開発用に多数の納入実績を重ねてきた。近年、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの普及が進むなか、将来の水素社会の到来、水素需要の増加を見据えてこのたび同装置を開発した。

 水素発生装置は、水を電気分解し、高純度の水素を製造するもの。風力発電や太陽光発電など、再生可能エネルギーによって生み出された電力の余剰分を、水の電気分解により水素として貯蔵することができる。同装置は、国内最大となる200Nm3/hの水素製造能力を有し、メガワット級の電力変換に対応した国内初の製品。心臓部である電解槽の大型化に関しては、日立造船の持つ電解技術とフィルタープレスの技術を融合させることにより、開発に成功した。また、40フィートコンテナに収納した可搬式であるため設置コストが安価。

 日立造船では今年度、柏工場で性能確認試験や耐久性試験などの実証実験を行った後、2019年度から本格的に販売を開始する予定。また、日立造船は産業界から排出される二酸化炭素と、再生可能エネルギー由来の水素を反応させてメタンを生成するメタネーションプロセスの開発にも取り組み、化石燃料の使用量削減に実効的なカーボンニュートラルを目指している。今後も、温室効果ガスを発生させない再生可能エネルギーの普及を積極的に推進し、政府が目指す2030年の再生可能エネルギー導入目標22~24%にも寄与していく。
 <装置概要>
装置名:水素発生装置「HYDROSPRING®」(固体高分子型)
仕様: ①水素製造能力 200Nm3/h(定格)  ②純度99.999%-dry
形状: 40フィートコンテナ(長さ12.2m×幅2.4m×高さ2.6m)
<特 長>
 ①高い安全性 :電気と水だけで、オンサイト・オンタイムで水素を大量に製造
 ②高い利便性:コンテナ収納で可搬式であり、ボンベの運搬・保管・交換が不要
 ③高効率および負荷変動追従性:固体高分子型電解槽採用により高効率に水素を製造 、風力発電、太陽光発電等の再生可能エネルギーの急激な電力負荷変動に追従

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