三菱商事、イラク港湾公社向けバスラ地区港湾改修工事を約110億円で受注

 三菱商事は5月30日、イラクの港湾公社であるGeneral Company for Ports of Iraq からイラク南部のバスラ地区の港湾改修工事を受注したと発表した。三菱商事は1970年代にバスラ地区にコール・アルズベール港 (工業港)のNo.1バース(通称“三菱バース”)を建設しており、約40年ぶりの同国での港湾工事受注となる。契約金額は約110億円となり、国際協力機構 (JICA) の円借款 (政府開発援助) により資金供与される。

 工事は、トルコ共和国有数の財閥チャルックホールディング(Calik Holding、以下CH) 傘下で三菱商事が一部出資する総合エネルギー・インフラ事業会社チャルックエナジー (Calik Enerji Sanayi ve Ticaret A.S.、以下CE)* 、同じくCH傘下の建設会社ギャップ (GAP Insaat Yatirim ve Dis Ticaret A.S.)と共に取り組むもの。

 三菱商事が主契約者となり、契約全体の取り纏め、および鋼材を中心とする日本製品の調達を担当し、CEが主体となり現地工事を実施致します。完工は2020年を予定している。

 工事は、次の2つの工事から構成されている。

〇コール・アルズベール港 (工業港) のNo.1バースを拡張し、石油製品輸出入用バースを造成

〇ウンム・カスル港 (商業港) に作業船、サービスボート用のサービスバースを新設

 イラクは、イランとクウェートに挟まれた約48kmの海岸線しか有しておらず、政府の港湾施設として実質的に機能しているのは、コール・アルズベール港とウンム・カスル港の2港のみと限定されている。同国は豊富な石油・ガス資源を有しており、今後、輸出が増えることが見込まれている。一方、十分な港湾設備が依然整備されておらず、包括的な港湾の整備が急務となっている。三菱商事は、質の高いインフラ輸出推進に積極的に取り組み、同国の復興と経済発展に貢献していくとしている。

* 三菱商事は90年代から中央アジア諸国に於けるプラント建設案件を中心にCEの親会社であるチャルックホールディング (Calik Holding) と協業している。2015年6月4日には、CE株式を取得し、人材交流を含めた戦略的パートナーシップを構築することに合意した。

<General Company for Ports of Iraqの概要>

本店所在地:イラク共和国バスラ市

設立:1919年

事業内容:港湾の操業、保守

代表者:Aziz Hashim, Director General

<チャルックホールディング (Calik Holding、以下CH) の概要>

本店所在地:トルコ共和国イスタンブール市

設立:1981年

事業内容:トルコ・周辺国に於けるエネルギー関連インフラ事業、繊維業、銀行業、建設業、マイニング事業、通信事業等

代表者:Ahmet Calik, Chairman & CEO

<チャルックエナジー社 (Calik Enerji Sanayi ve Ticaret A.S.) の概要>

本店所在地:トルコ共和国イスタンブール市

設立:1998年

事業内容:CIS諸国、中東、アフリカを中心としたプラントEPCプロジェクト関係、トルコ、コソボ等でのエネルギー関連インフラ・ユーティリティー事業等

代表者:Ridvan Aktürk, CEO

<ギャップ社 (GAP Insaat Yatirim ve Dis Ticaret A.S.) の概要>

本店所在地:トルコ共和国イスタンブール市

設立:1996年

事業内容:トルコやトルクメニスタン始めとするCIS諸国、中東、アフリカを中心とした建設業、不動産開発

代表者:Korhan Ozbaysal, General Manager

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