KYBが5月11日に発表した2018年3月期(2017年度)連結業績によると、売上高は前年度比10.4%増の3,923億9,400万円、営業利益は同10.8%増の208億8,500万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同4.5%増となった。売上増は、油圧ショベルと主とする中国における建設機械向け製品の需要増加や為替相場の円安影響が主な要因。
主要需要先である自動車市場は、米国では前年に比べ販売が減少したものの、中国や欧州で好調に推移した。また、建設機械市場は、中国では安定した成長が続き、欧米も堅調に推移した。KYBグループは、急速な環境変化に対して柔軟かつ耐性を持った経営基盤と収益基盤の構築に向けて、組織、製品、拠点などのあらゆる面における抜本的構造改革に取り組んだ。
■セグメント別の業績
四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品で構成。サスペンション事業部・ステアリング事業部・モーターサイクル事業部の3事業部体制とし、各製品群の責任者及び利益責任を明確にするとともに、管理レベルの向上と意思決定、戦略実行のスピードアップを図っている。
四輪車用油圧緩衝器:四輪車用油圧緩衝器は、米国では販売が減少したものの、中国や欧州、国内市場において総じて堅調に推移し、売上高は1,625億円と前年度に比べ7.6%の増収となった。
二輪車用油圧緩衝器:二輪車用油圧緩衝器は、インド、中国等での販売が増加し、売上高は295億円と前年度に比べ3.5%の増収となった。
四輪車用油圧機器:パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、CVT(無段変速機)用ベーンポンプの販売が堅調に推移したものの、電動パワーステアリングや油圧ポンプが減少し、売上高は457億円と前年度に比べ1.7%の減収となった。
その他製品:ATV(全地形対応車)用機器を中心とするその他製品の売上高は49億円となった。
以上の結果、ACセグメントの売上高は2,426億円となり、営業利益は85億5,900万円(営業利益率3.5%)となった。
<HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント>
産業用油圧機器、その他製品で構成。市場変動に左右されない安定した売上高、利益の確保のために、量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化を図りながら、農業機械や鉄道向け製品など建設機械以外の油圧製品の営業・開発体制を強化している。
産業用油圧機器:建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、中大型ショベルが中国市場を中心に安定した成長を続け、小型及びミニショベルが欧米市場で堅調に推移したため、売上高は1,141億円と前年度に比べ28.7%の大幅な増収となった。
その他製品:鉄道用セミアクティブシステム及び緩衝器を主とするその他製品の売上高は85億円と前年度に比べ10.9%の増収となった。
以上の結果、HCセグメントの売上高は1,226億円となり、営業利益は111億6,300万円(営業利益率9.1%)となった。
<特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等>
特装車両、航空機器、システム製品および電子機器等で構成。特装車両事業については、東京オリンピック・パラリンピックや都市開発など国内需要の確実な取り込みにより売上とシェアを維持する。また、インフラ投資が旺盛で売上比率も高まっているインドでの体制整備も進めている。航空機器事業は非常に長期的なスパンで展開する事業構造であるため、KYBのDNAでもある航空機技術を活かしながら知見を広めニーズに応えている。
特装車両:コンクリートミキサ車を主とする特装車両は、インドでの販売が増加し、売上高は96億円と前年度に比べ11.8%の増収となった。
航空機器:航空機器は、売上高は64億円と前年度に比べ17.8%の減収となった。
システム製品および電子機器等システム製品および電子機器等:売上高は113億円と前年度に比べ3.2%の減収となった。
以上の結果、同セグメントの売上高は272億円となり、営業利益は8億4,400万円(営業利益率3.1%)となった。
■2019年3月期の見通し
AC事業は、北米・欧州での市販向け販売増に加えて、ブラジル製造拠点の連結子会社化の影響により、売上高は伸びるものの、固定費増の影響等により、利益は微増に留まる見通し。HC事業は、中国市場向けを中心に需要が更に高まり、売上高は大きく伸びるものの、生産繁忙に伴う収益性の悪化やコントロールバルブ移管に伴う一時費用等の影響により、利益は微減の見通し。
2019年3月期の連結業績は、売上高4,150億円(前期比5.8%増)、セグメント利益220億円(同1.9%増)、営業利益239億円(同14.4%増)、税引き前利益229億円(同9.7%増)、当期利益173億円(同9.3%増)、親会社株主に帰属する当期利益166億円(同9.2%増)の見通し。
なお、業績予想における為替レートは、1米ドル=105円、1ユーロ=128円を前提としている。
追加:決算説明会質疑応答
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