東京計器、17年度売上は5.8%増の438億円、18年度見通しは9.1%増の478億円

■2020(平成32)年度まで4期連続の増収・増益を計画

 東京計器が5月12日に発表した2018年3月期(2017年度)連結業績によると、売上高は前期比5.8%増の438億300万円、営業利益は同17.6%増の13億1,900万円、経常利益は同20.7%増の15億1,100万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同58.0%増の11億2,000万円となった。

 東京計器2017年度データ

 2017年度の国内経済は、アジア向けを中心に輸出が持ち直す中、企業の設備投資や生産活動が緩やかに増加していることなどから、景気は緩やかな回復基調が続いた。東京計器グループは、2013(平成25)年に発表した5ヶ年中期経営方針に基づく3ヶ年中期事業計画の成長戦略である「既存事業の強化」に加え、「グローバル化の推進」と「事業領域の拡大」を重点に取り組んできた。

 「既存事業の強化」については、防衛・通信機器事業の官需市場で過年度に受注したF-15主力戦闘機用レーダー警戒装置の更新に伴う開発・納入が計画どおりに推移した。「グローバル化の推進」については、油空圧機器事業の海外市場で中国の北部地域に設定した複数の有力な新規代理店による成果が出始めた。また、インドでも新たに2社と代理店契約を締結するなど販路を更に拡充した。「事業領域の拡大」については、防衛・通信機器事業の民需市場で農業機械用自動操舵補助装置及び半導体製造装置用マイクロ波増幅器の量産が始まった。

■セグメントン別業績

<船舶港湾機器事業>

 商船市場は、新造船向けに航海機器のパッケージ販売が増加し、仕入商品の販売も堅調だったことなどから、受注は前期並みとなったが、売上は前期を上回った。

 内航船市場では、新造船向けにコンソールなどと組み合わせた舶用機器が増加したことなどから、受注、売上共に前年同期を上回った。

 海外市場では、アジアの新規建造需要が一部回復したことなどから、受注は前年同期を上回ったが、新造船向け販売と欧米向けOEMジャイロコンパス販売の回復が遅れたことから、売上は前年同期を下回った。

 船舶関連機器の保守サービスについては、部品販売及び役務工事が堅調に推移したことから、受注は前年同期並みとなり、売上は前年同期を上回った。

 このような状況の中、新商品については、商船市場向けにMF/HF無線電話装置TRM-1510及び航海情報表示装置BM8100シリーズ、内航船市場向けに電子海図装置ECS-8100シリーズ及び舶用レーダーBR-1220/1520、内航船・漁船市場向けにトラッキングインターフェースユニットTIF-3を市場投入した。

 この結果、事業全体として売上高は前期比4.7%増の88億5,800万円、営業利益は1億6,100万円(前期△1億4,100万円)となった。

<油空圧機器事業>

 プラスチック加工機械市場は、自動車関連設備の需要が増加したことなどから、受注、売上共に前期を上回った。工作機械市場は、国内及び北米の需要が一般産業機械を中心に堅調だったことなどから、受注、売上共に前期を上回った。建設機械市場は、国内の復興需要及びインフラ整備需要が減少したことなどから、受注、売上共に前期を下回った。海外市場は、中国の成形機需要が堅調だったことから、受注、売上共に前期を上回った。

 油圧応用装置については、一般産業機械市場では自動車関連設備の需要が堅調に推移したことから、受注は前期を上回ったが、売上は前期並みとなった。

 このような状況の中、新商品については、建設機械市場向け高圧ピストンポンプPHC45、高速比例弁HRD-7、画像処理用グラバーボードDAPDNA-CP300、超音波厚さ計UTM-210を市場投入した。

 この結果、事業全体として売上高は前期比3.7%増の128億5,300万円、営業利益は同15.6%増の2億3,500万円となった。

<流体機器事業>

 官需市場は、災害復旧工事に予算が優先され、計装工事の発注が遅れたことなどから、受注、売上共に前期を下回った。民需市場は、船舶接岸速度計の発注が遅れたことなどから、受注、売上共に前期を下回った。海外市場は、ミャンマー向けODA案件があったことなどから、受注、売上共に前期を上回った。

 このような状況の中、新商品については、官需市場向けに農業用水用電池式超音波流量計UFB-20及び2線式超音波流量計UFR-40を市場投入した。

 この結果、事業全体として売上高は前期比9.0%減の23億8,100万円、営業利益は同55.3%減の1億1,800万円となった。

<防衛・通信機器事業>

 官需市場は、F-15主力戦闘機用レーダー警戒装置の量産受注、航空機用油圧機器の修理契約及び部品販売の増加、新型潜水艦用装備品の開発契約があったものの、前期にあったSH-60K哨戒ヘリコプター17機一括調達に伴う逆探装置のような大型契約が当期はなかったことなどから、受注は前期を下回った。一方、F-15主力戦闘機用レーダー警戒装置の更新に伴う開発・納入があったことから、売上は前期を上回った。

 民需のセンサー機器市場は、地震計関連機器及び道路関連機器の需要が増加したことに加え、新たに市場投入した農機関連装置の量産出荷が始まったことから、受注、売上共に前期を上回った。

 通信機器市場では、地上デジタル放送関連機器の換装需要が好調だったこと、当期から量産が始まった半導体製造装置用マイクロ波増幅器の数量が増加したこと、衛星通信用アンテナスタビライザーなどの需要が好調だったことから、受注、売上共に前期を上回った。

 このような状況の中、新商品については、センサー機器市場向けにIRI機能を搭載した新型平坦性計測解析装置レーザ・プロファイラLP-3000及び田植機用自動操舵補助装置、放送局向けSNGアンテナ装置、車両向け衛星通信用アンテナスタビライザーを市場投入した。

 この結果、事業全体として売上高は前期比15.9%増の160億5,100万円と、営業利益は同165.6%増の4億6,000万円になった。

<その他の事業>

 検査機器事業は、新商品P-CAP V6の市場投入が遅れたことなどから、受注は前期を上回ったが、売上は前期を下回った。

 防災機器事業は、立体駐車場の完成物件が増えたことに加え、「ガス系消火設備の容器弁の安全性に係る点検」の新たに法定期限を迎える物件が増えたことから、受注、売上共に前期を上回った。

 鉄道機器事業は、役務工事は堅調に推移したものの、大型物件であるレール探傷車の更新需要の端境期に入ったことなどから、受注、売上共に前期を下回った。

 このような状況の中、新商品については、検査機器市場向けに印刷品質検査装置 P-CAP V6、鉄道機器市場向けに分岐器検査装置SPG-5、レール底部探傷装置ST-1、クレーンレール探傷器CRD-50を市場投入した。

 この結果、事業全体として売上高は前期比10.2%減の36億5,900万円、営業利益は同44.6%減の3億9,600万円となった。

■今後の見通し

 我が国経済については、各種政策の効果が下支えする中で、景気は短期的には緩やかな回復が続くと期待されているものの、中期的には新興国経済の成長鈍化、政策の不確実性、金融市場の変動、地政学的な緊張の高まりなどにより海外経済が下振れし、その影響が日本にも及んで国内景気を下押しするリスクも懸念されている。

 2019年3月期の連結業績は、売上高478億円(前期比9.1%増)、営業利益18億9,000万円(同43.3%増)、経常利益19億5,000万円(同29.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益14億円(同25.0%増)の見通し。

 東京計器の2018年3月期決算短信

 中期経営方針及び中期事業計画について

 追加:決算説明会資料(6月1日、開示情報)