酒井重工業が5月11日発表した2018年3月期(2017年度)連結業績によると、売上高は、国内外ともに販売を拡大し、前年度比24.5%増の295億円、収益構造が好転した結果、営業利益は同97.9%増の33億5,000万円、経常利益は同102.9%増の31億4,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、米国減税法案成立に伴う繰延税金資産取崩しの影響で同4.0%増の18億8,000万円となった。
2017年度の事業環境は、国内向け排ガス規制駆け込み需要とアフリカ向け大口プロジェクトという二つの特需が加わり、好調な事業環境が続いた。酒井重工業では、足下の増産対応に力を注ぐ一方、中長期成長戦略である海外市場開拓の積極化や、変化対応力と経営基盤の強化策を着実に進めた。
■連結地域区分別の売上状況
国内向け売上高は、排ガス規制による駆け込み需要とその後の底堅い需要に支えられ、前年度比10.5%増の124億3,000万円となった。海外向け売上高は、北米やアジアを中心とした全世界的な販売拡大やプロジェクト売上の積上げにより、同37.2%増の170億6,000万円となった。これにより海外売上高比率は57.8%に高まった。
売上高のうち、北米向けは、建設投資拡大に伴い販売を強化し、同17.3%増の47億5,000万円。アジア向けは、インドネシア向け販売を倍増させるとともに、メコン経済圏でも販売が堅調に推移し、同22.5%増の93億4,000万円となった。
中近東・ロシアCIS向けは、不安定な地域情勢で需要が停滞する中、同72.5%増の2億6,000万円となった。
その他市場向けは、中南米及びオセアニア向け販売を拡大させるとともに、アフリカ向けのプロジェクト売上を積み上げた結果、同344.7%増の27億円となった。
■所在地別セグメント業績
<日 本> 国内外ともに好調な販売とフル操業による増産の結果、総売上高は前年度比20.0%増の235億5,000万円、営業利益は同138.2%増の18億5,000万円と、大幅な増収増益となった。
<海 外> 米国では、建設投資拡大が続く好調な市場環境下、北米事業体制の整備を進め、総売上高を前年度比13.1%増の48億4,000万円、営業利益は同23.7%増の2億5,000万円となった。
インドネシアでは、国内販売の倍増と第三国向け輸出の拡大とともにフル操業による増産を進めた結果、総売上高は同58.7%増の83億2,000万円、営業利益は同139.3%増の12億8,000万円と大幅な増収増益となった。
中国では、第三国向け輸出を拡大させたものの国内販売が振るわず、総売上高は同14.1%増の19億2,000万円、営業利益は不良資産処理の影響もあり同80.0%減の2,000万円となった。
■2019年3月期の見通し
今後国内では、東京五輪や災害復旧工事とともに老朽化した社会資本の維持補修工事が控えており、当面は安定した工事需要が続くものと予想。海外は、北米における大型減税と更なる建設投資拡大、アジア諸国で続く活発なインフラ投資、中国や新興国の経済回復など、市場環境は引き続き堅調に推移するものと期待される。しかし、足下では特需売上の剥落や、円高や素材価格変動による原価上昇、更には今後の成長戦略投資に伴う経費増加など、次期業績の下押し圧力が想定される。また世界的な地政学情勢の流動化や次世代技術に伴う産業競争軸の激変など、事業環境は激動期を迎えつつある。
酒井重工業は、中長期成長軌道の道筋づくりを優先して実行する方針とし、国内外における積極的営業展開による現売上高水準の足場固め、将来成長と技術革新の為の人材、設備能力、次世代技術への積極投資、そして需要変化対応力と経営基盤の強化策を引き続き推し進めることにより、この激動期を乗り越え、中長期的観点から持続的成長を目指していく。
2019年3月期連結業績は、売上高295億円(前期比横ばい)、営業利益26億円(同22.6%減)、経常利益23億円(同26.9%減)、親会社株主に帰属する当期利益15億円(同20.6%減)となる見通し。
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